税金をよろこんで納めていますか?

もちろん関係業者の皆さんはどうやって解決すべきか、日々悩んでおられるのでしょう。それはわかりますが、しかし余りにもひどい話です。牛乳廃棄の問題です。先日、膨大な量の牛乳が廃棄されました。国内での生産分はもちろん、わざわざ輸入している乳製品までもです。わざわざ輸入までしておいてこういうバカげたことをしています。そしてそれは先日に限ったことではなく、都合がわるいのか国はあからさまにしません。もちろんすぐに輸入を止めることは難しいのかもしれません。しかしそれをやるのが政治です。
政府は「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」なるキャンペーンを展開しました。NEWと乳をかけたダジャレみたいな名前に大きな広告代理店のような存在が見え隠れしますが、それはいいとして、国民に「もう1杯飲んでください」と呼びかけるものです。牛乳の消費量が年々減っていることにかこつけて、ある種皆さんの責任でもあるのです、とでもいうような言いっぷりですが、問題の核心はそうしたことではなく農水省の施策に大きな責任があると専門家は言います。
生産者の心境を慮るといたたまれない気持ちになります。自分たちの土地で一生懸命に働き、品質向上に努め、日々汗して、その結果が、作ったものが捨てられ、税金まで吸い取られてゆく。住む町でこんなに頑張っているのに、どうしてここまでされてこんなに住民税を持っていかれなければならないのか。
山口県のとある町で住民税収が6倍以上に跳ね上がったそうです。複数の高額納税者が「瀬戸内のハワイ」と呼ばれるこの地に移住してきたことが増収の理由だということです。仮にこの国の食を支える多くの農業畜産経営者が「やってられないや、もうや~めた」とばかりに故郷を捨てて楽な道を選んだなら、日本はいったいどうなってしまうのだ、と思ってしまいます。そのために国はそういった人々の仕事に対するプライドも守っていかなければなりません。
そこらじゅうでSDGsが叫ばれている中、なんだかそれは難を逃れるための呪文のように聞こえて実態はかなりかけ離れている気がしてなりません。コオロギの生産よりも先に、この国は未来のためにやるべきことが多くあるように感じます。