人の徳をはかるものさし。

今年の夏に英国の歴史ある名門校が東北で開校をしました。入学金も授業料もさぞや良い額だということです。一般庶民の親が自分の子供を簡単に入学できるわけもなく、集まる家系はそれなりのものです。子供たちはそこで何を身につけてゆくのか?もちろんハイレベルな勉学であるのは間違いありませんが、そこで身につける大きなものとして「人脈」というものもあるそうです。自然の成り行きとして後々の人生に強い力を発揮するのでしょう。当然と言えば当然であると思います。最初からそのうま味を狙って我が子を入学させるというのなら、それは学校の本意とは違うので、ちょっとどうかな、なんて思いますが。
世の中にはさまざまな人脈があります。学閥なんていうのもあります。同じ大学出身ということであからさまに贔屓目に見られたりして。同郷というのもそうですね。故郷がいっしょというだけで親しみや助け合いの心がわいたりします。そういう偶然に近いもの、ラッキーな出会いくらいのものでも人脈になり得ます。
ただ、私として思う理想の人脈とは、そうした与えられたものとか、偶然の出会いから生じたものではなく、人と人とか時間をかけて育んだ結果として思いたいです。なので、人脈とは生じるまでにある程度の時間がかかって仕方がないし、そうして育まれたものが本来の人脈であって欲しい、と思っています。その人に徳があるから人脈が生まれるし、逆に徳がない人にはいつまで経っても人脈は生まれないと思っています。人脈とは強固なもので、相手が困った時に手をさしのべることをいとわず、自分が困った時に相手が手をさしだすことをいとわない、強くて柔らかな関係だと思いたいです。
東京五輪で大手広告代理店出身の某人に賄賂が集まり話題となっています。周囲の者が欲を出したあげく、彼に裏金が流れていました。多くの人が彼の人脈と呼ばれるものをあてにし、お金を出して人脈と呼ばれるものを買おうとしていました。
金額はそれなりだったようですが、それとは真逆に、ずいぶん安っぽい部類の「人脈」です。