良い意味で「こだわる」という言葉を、私たちはよく用います。「こだわる」矛先には大きく分けて二つがあります。
一つは、自分に向けてです。他人はどうあれ自らが納得いくまで考えて行動すること。
もう一つは、他者に向けてです。自分の主義や主張ではなく、他者の望みを叶えるために納得いくまで引き下がらないこと。
エバーグリーンホームのこだわりとは、後者です。
エバーは独自のスタイルを押し付ける会社ではありません。スタイルはお施主様が決めるもので、私たちはプロとしてそれをアシストする、それが言うなればスタイルです。なので、こだわりたい部分とは、果たしてこれでお施主様の要望に合っているか、を考えたり悩んだりすることです。大きなことも些細なことも含めて、望まれたものをかたちにする、そうしたこだわりです。
しかしながら、こだわり過ぎ?、という事実が数字には表わされてしまっています。何せ我々は現在、内部のスタッフが18名、そのうち設計は9人足らず。その規模であれば、同規模の建売業者は年間で300棟をクリアします。しかしながらエバーは年間30棟がせいぜいです。考え方の尺は違うし、このような計算は無意味かもしれませんが、建売10棟の労力を、エバーは注文住宅1棟に費やしている計算になります。
もうちょっと上手くやれないのか?と考えたりもします。でも、これは私やスタッフの性分で、なかなかできるものではありません。企業として合理化というのは命題ですが、それが「こだわり」まで浸食してしまうことがとても怖いと感じているからです。家が完成した後にお施主様から言われる「こんなに丁寧につくってくれるとは思わなかった」「夢だと思っていたことを実現してくれた」そんな言葉が合理化と共に消え去ってしまうなんて、非常に恐ろしいことです。合理化は、得てして仕事の最も大切な「魂」を抜き去ってしまいます。
そこで、私が中心となって主導しているプロジェクト「エバープロデュース」とが、スタッフのこだわりや、エバーの最も大切な魂を保護しています。
フレンチの「ル・ニコ・ア・オーミナミ」、寿司の「鮨裕」、それらはエバーが土地から介入してさまざまなコンセプトを打ち立て、店舗関係者やオーナーと二人三脚でつくってきた「エバープロデュース」です。双方のお店はオープン当初から現在まで、予約が殺到しています。おいしいものを求めてお店にやってくるお客様が後を絶ちません。素晴らしいお店です。
合わせて、「ル・ニコ・ア・オーミナミ」も「鮨裕」も、かつて湘南にはなかった本格店でありながら、同時に、その空間をつくったエバーを広告してくれるスペースになっています。「そろそろ家を建て替えたい」と思っている方が、無意識にエバーの建物に触れる場なのです。わざわざ意を決して、恐る恐るエバーのドアを開けてくださらなくとも、エバーのこだわりをスマートに感じていただけるスペースなのです。
こだわりと表裏一体である合理化を無理やりに行わないかわりに、エバーの魂に触れてもらう場を多くつくる。そのことでお客様の数が増えればいい。それはさらに、個々のお客様への利益還元も増えます。お客様に幸福をもたらすための、円滑なフローチャートです。
エバーがビジネスの幅を広げている、というような勘違いをなされている方がいるとするなら、それは大きな大きな誤りです。「エバープロデュース」をはじめとする全てのPR戦略は、エバースタッフのこだわりを守るためにあり、その結果として、お客様にとってのいい家を建てるためにあります。目的は、それだけです。
そして現在、「鮨裕」「ル・ニコ・ア・オーミナミ」に続く「エバープロデュース」の店舗プロジェクトの骨格が、見えてきました。進展とともに、この場でご報告していこうと考えております。