「プライドを取り戻す」

今回は私に似つかわしくないですが、AKB48の話です。

年始のテレビ番組で、まだ全然売れていない頃からの彼女達の足跡を振り返っていました。自分たちの魅力をもっとより多くの人にわかってほしいと、もがきながら、助け合い頑張っている姿は、とてもいいものでした。
考えてみれば、芸能人というのはすごい職業です。どうやれば売れる、という法則がまるでない職業なのですから。スタイルがよく、顔が綺麗であれば、ファッションモデルにはなれます。
しかし、芸能人はスタイルがよく、顔が綺麗であっても、なれるものではありません。さらに歌が上手く、踊りが達者であっても、必ずなれるものでもありません。キラッと光る何かがないと。そこには法則がありません。
彼女たちは自分自身に、そのキラッと光る何かがあると信じて、その信じる力だけを頼りに、道のない暗闇の中を突き進んで来たわけです。そうして報われる人なんて、ごくひと握りだというのに。

至極幸いなことに今彼女達は成功しました。
しかし、闇の中の彷徨いはこれからも続きます。芸能人の魅力なんて泡のようなもので、昨日と同じことを今日またやったら、それは飽きられるだけですから。
たえず新しい自分の魅力を探し続け、それを形造らないと、いつ消えてしまうかわかりません。

「いま求められているのは、何か?次に求められるのは、何か?」

AKB48の努力を眺めていながら、この疑問符は自分自身にもあるものだと感じました。
家づくりとて、似て非なるものかもしれません。エバーの家づくりはこれからどこに向かっていけばいいのか、それはとても難しい問題です。私たちだって、道のない暗闇の中を突き進んでいくのは同じなのだと気づかされました。

そんな中で、ひとつ、「プライドを取り戻す」ことが道しるべであると感じます。
プライドとは、自分はできる、と信じること、要は仕事の原動力です。日に日に、仕事の喜びを見い出せなくなってしまった人が増えているような気がします。仕事が生きがいだ、と答えられる人が少ないことは、不幸な世の中になってしまっている気がしてなりません。
仕事のプライドは、だからなおさら大事です。一人ひとりのその上昇するエネルギーを、長として育て、守っていきたい。個々が個々の立場の中で、自分の仕事に自信と誇りを取り戻すことから、さらに良い家づくりへと進化することができると感じます。
昨年は震災という辛く悲しい出来事があっただけに、強く生き直すことは大変なのかもしれません。しかし、だからこそ、周囲を守れる人間は、周囲を守らなくてはいけません。驕ることなく「自分たちはもっとできる」という思いを信じて、志を高く掲げ直していきたい。そして、得られる利益は、個人ではなく、皆で共有すべきです。

そのための環境を整えることが、ひとつ、私の役割なのではないか。
別にファンでも何でもないですが、20代のAKBと40代の猪狩裕一、どこか頑張る気持ちに共鳴を覚えた、そんな年明けでした。