おかげさまでエバープロデュースのレストラン「ル・ニコ・ア・オーミナミ」が4月のオープン以来ご好評をいただいております。
想定をしていた通り、まずはランチタイムに多くの皆様が足を運んでくださっています。フレンチの新店ですから、思いつきで「行ってみよう」とはなかなかできないもので、とりあえず行った人の評判を聞いてから本腰を入れてディナータイムへ、というのが筋であると思っていました。まずお試しでランチから、というお客様の動向はごもっともです。長い目で見ていただけたら本望です。
さて、大変だったレストランのオープンが無事終わり、ひと息ついて後の今の私はというと、「原点に立ち戻った」感じがしています。家づくりやお客様の望む建築の現場に、意気揚々と帰って来ているような(実際の日々は今までと変わりはないのですが)、不思議な感覚です。現場に指示を出し、お客様と細部の折衝をしたり、選んでもらったり、納得をしてもらったり、そういうことが生き生きとできています。自分の仕事本来の感覚です。資材やスタッフにざわざわと囲まれた喧騒の中が、本来の居場所のように感じます。
喧騒の中では、スタッフの皆が迷ったり、立ち止まったりします。
しかし現場が止まってしまうことは大変なことです。だから要所要所では必ず私の対処が必要になってきます。
あるいは私のような現場を止めない力を持った人間が必要です。
しかしながらどうも私自身の性分がそうはさせません。他人任せにはできないでいます。他人に任せるとあまりいい結果にはならない、という苦い経験が今までたくさんあったからかもしれません。
どんな仕事に携わる人にも、第六感というのがあると思います。それは経験や技術や才能が備わった人ほど強く育まれています。私の場合は設計図を見るとその第六感が働きます。一見ささいな部分であっても、何かそこに胸騒ぎが働くのです。「この部分の数字は裏付けが必要になる」とか「この部分の施工は必ずお施主様に立ち会ってもらわないと危険だ」とか、誰も気づかずにスルーしてしまうことが、大きな心配に感じることがあります。それは放っておくと現場を止めてしまう原因になります。設計図レベルでそれを見極め、胸騒ぎがする場所を前もって対策しておけば、現場は止まることもないし、スタッフが右往左往することもありません。それを発見する能力というのは、科学的ではありませんが、経験や技術から生まれた第六感のように思えます。
さしずめ第六感とは、「先読みする力・プラスアルファ」だと感じるのです。恥ずかしながら将棋ができない私ですが、いわんやチェスなどちんぷんかんぷんな私ですが、そういった先読みをするタイプのゲームは相当に強い、ような気がします。ゲームをしなくても済んでいるのは、現実の世界で存分に使い果たしているからなのでしょう。
「ル・ニコ・ア・オーミナミ」ホームページ http://le-nico-a-ominami.com