デザインは機能の先にあります。逆を返せば、良いデザインとはふさわしい機能を有したものでなければなりません。
窓ひとつをとっても、なぜここに窓が必要なのか、なぜこの窓はこういう材質でこういう大きさなのか、という問いに、つくり手が明確な答えを持っていないとなりません。
「どうしてここに窓が必要なんですか?」と問われて、「いや、そういうものだから・・・」などといい加減に答えるつくり手がいるとしたなら、そのつくり手は何も考えていないということです。
人間というのは実に不思議なもので、何かをずっと見続けていると、どういうわけかそれがそこにあるのが当たり前だと感じます。必要のない場所に窓があっても、それを見続けているうちに、模倣をすることだけはできるようになってきます。
しかし、理由のない窓など、デザインとは呼べないのです。残念ながら、そんな模倣家がつくった家は数多くあります。残念です。
昨年、エバーは総力をあげてモデルルーム「VILLA EVER」を完成させました。
エキスパートが集ってああだこうだと考え、悩みながらできていったその家は、はからずも和の風合いに満ち満ちた空間に仕上がっていきました。(画像はモデルルームのページにあります。)そこであらためて感じたことは、日本の伝統の工法が持つ優れたデザインです。大きさの理由と小ささの理由。広さの理由と狭さの理由。高さの理由と低さの理由。在ることの理由と無いことの理由。・・・どんなに些細なことにも意味を感じることができました。否、いかに些細なものであるからこそ意味があり、そこに明確な機能性がある、これは広大な土地と石を主体とした欧米の建築文化とは土壌の違う、研ぎ澄まされたデザインの意味、意義です。
和の回帰。これは多かれ少なかれ、振り子の行ったり来たりのように現象として揺れ戻っていることですが、今まさにこの動き「和の回帰」を感じています。
ざっくりとした広さや抜けの良さといった空間の嗜好が、緻密さを追い求める風潮へと移り変わってきているように、私はいま感じています。デザインが、より厳しく問われる時代です。