選挙が近づいてきた今、「日本をダメにしたB層」なんていう言葉がマスコミに流されています。「B層」って、何だか知っていますか?
「B層」とは、もともとは2006年の小泉郵政選挙に遡ります。自民党がとある広告会社に、メディアを使って選挙戦をどう戦うべきか、という分析をさせました。その企画書によると、国民がA~D層の4階層に分類され、そのうちのB層とは、「マスコミ報道に流されやすい、比較的IQが低い人たち」、「具体的なことはわからないが小泉純一郎を支持する層」のことでした。広告会社は、彼らをターゲットに選挙戦を戦うべきだと分析しました。今、その「B層」が日本をダメにする、などと再び騒がれています。
ものごとの真理はよくわからないし、わからなくてかまわない。わからなくたって生きていけるのだから。だから、なんとなくの感覚であっちとこっちだったら、こっちの方がいい。・・・なんかそういう感じなのでしょうね、「B層」の感覚とは。一概にはわるいことではないとは思います。その人その人の人生観なのだから、私には関係ありません。
しかし、それは何らかのかたちで私と関係をもった時、許されないこととなります。何故かというと、「B層」は今や、社会に圧倒的な影響を与えていて、末端で私に影響を与えているからです。
「B層」という言葉の発端はかつての選挙戦略ですが、問題は選挙だけじゃなく、簡単に言えば今の世の中すべてに影響を与えています。なんで流行っているのか首をひねる音楽も、浅過ぎて最後まで読むのが辛い小説も、何かが当たればその他全てが同じデザインになる家電製品も、組み合わせが奇妙なお菓子も、何も考えずに観ることができるテレビ番組も、可愛いというキーワードだけで運営されているテーマパークも、気がつくと買いたくなっている安い衣服も、この「B層」マーケティングが圧倒的な影響を与えているのです。
お菓子などはともかくとして、何事においても雰囲気やルックスで選ばれてしまうと、これは世の中、困ったことになります。得てして、選んだら終わり、になってしまうからです。そして、選んだらもう何もしなくていい、という思考回路だとしたら、これはさらにまずい。そういうかたちでリーダー選びのような国政選挙に参加してしまったら、その後の評価まできちんと行う全うな人達の影響力は落ちるばかりです。政治家も雰囲気やルックスや耳触りのいい言葉ばかりで勝負するようになってしまいます。世間はますます選ぶだけの人達「B層」だけを見るようになってしまいます。
小さな会社のリーダーである私は、痛切に感じています。この会社が幾分かでも成長し続けているのは、私がたえず周囲から評価を受けているからです。いい評価は維持して、わるい評価は直そうという気持ちを大切にしているからです。表面だけで仕事をするのは絶対によくない、と思っているからです。それをスタッフは皆、見て育っているから、会社としてどんどん良くなっていくのだと感じています。
おそらく私自身が「B層」化したら、エバーという会社は簡単に滅んでしまいます。ものごとを表面だけでとらえることは、楽なんですよね。実際、新しく入ってくるスタッフにも、そういうタイプの人は結構いるんです。けれど数カ月もすると、そういう表面的なものの考え方ではなくなっています。荒い仕事がいつしか驚くほど丁寧に変わっていくのです。環境と練習と自覚さえ整えば、たいていの「B層」さんはそうではなくなるはずなんです。
断言しますが、現在エバーは、全員「考える人」です。「B層」率ゼロ。素晴らしい会社です。
話がそれました。さて、世の中の「B層」の皆さん(と訴えたところで本人に自覚がないのかもしれませんが)。国政選挙は、選挙だけがんばっている人なのか、その後に約束を守ってくれる人なのかを、見極めていきましょう。
そして選ばれたリーダーを、一人ひとりが今後も根気よく監視していきましょう。そうすれば、日本という私たちの会社も、絶対に今よりもっと良くなるはずです。