このご時世、坂本竜馬がいたならば

福山雅治さん演じる坂本竜馬が今年は人気者ですね。ドラマでも描かれている通り、竜馬という男は典型的な大器晩成型です。実像は中学生くらいの年齢までおねしょをしていたという話も。家族もつくづく将来を憂いていたと聞きます。それが人生の後半にメキメキと頭角を現し、やがては日本を背負って立つ大物へと成長していきました。強いだけではない、優しいだけではない、その両方を兼ね備えた男に。そんな男だからこそ、彼は今の時代にあっても抜きん出て男達の憧れの存在なのでしょう。

ところがどうでしょう、今のこのご時世に竜馬という男がもしいたら、やはりあの頃と同じく、歴史に残るような大人物と成り得たかどうか?う~ん、おそらく無理でしょうね。竜馬に限らず、大器晩成型の人間は生きづらいでしょうね。 
バブルの崩壊から日本は大きく雇用形態が変貌しました。
会社主義から個人能力主義へと。上司の命令をそつなくこなしていれば安泰だったはずが、組織という頼れる存在を失ってしまいました。自分を助けてくれるのはもはや自分だけ。成果を残してなんぼです。その傾向は今だ濃くなっていく一方です。

利益を作り続けることができなくなったら、容赦なく、ハイおしまい。
かつて流行った「今日がだめなら明日があるさ」という歌は、「今日がだめなら明日はないさ」という歌詞に書き換えないと成り立ちません。「コイツはいつか大物になる」と人を信じて猶予をつくることができないなんて、私としてはせちがらい世の中に思えます。竜馬だって、周囲の猶予が彼をあれだけ大きく育てたのですから。

悲しい現実ばかりを嘆いてみてもしょうがなく、最近の良いところを考えてみると、そんな時代だから皆、若いうちから個々に問題意識を抱えている点です。
エバーのスタッフは皆が若いのですが、年長の私が感心するほど、日々自らの成果をいうのを貪欲に追い求めています。理由は簡単です。そうやっていかないと、誰も助けてくれないからです。

明るくて気のいい面々ですが、内面は今の自分では満足できない沸々としたものを持っています。
自分に満足しては終わり、という 感覚を、宿命的に背負って生まれてきたからなのかもしれません。今のスタッフには様々なことを任せられるし、安心をしています。