新たな期を迎えるにあたり、これまでのエバーの、それは言わば私自身の、ということになりますが、足跡を振り返ります。
創業は四半世紀近く若かった頃です。自分ひとりから始まり、そしてだんだんとスタッフが増えていきました。その頃、スタッフは誰もが若かったです。そして、そんな自分たちからみて、お客様であるお施主様はほぼ年上の方々でした。
その頃のエバーは若々しい血気にあふれていて、そんな若者の血気をお施主様は可愛らしく思い、支えてくださっていたと思います。若いゆえの未熟な部分があったとしても、それを微笑ましく包み込んでくれるお施主様側の包容力があったから成り立っていたはずです。経験数は少なくても若くて活発で親身な会社、という魅力で、経験豊富な年上のお施主様に愛されてきた側面があり、そのことでエバーは上手くまわっていました。それはそれでよかったのだと思います。そして、同年代のお施主様であったら、お施主様は身構えることなく、対等の立場でいろいろなご要望を口にできたことでしょう。「こんなことを言ったら馬鹿にされるんじゃないか」なんて、相手が同年代なら心配せずに済むからです。
そして今に時計の針を戻してみると、気がつけば私はアラフィフです。昔いっしょにがんばっていたスタッフも同じスピードで歳をとりました。ずっと一緒にやってきた人間も、いつしか最前線から遠ざかり、やがて完全にリタイアするスタッフもいます。そして、お施主様は大半が年下の若い皆様ばかりになりました。私を含めスタッフとお施主様の年齢層が、エバー創成期とは逆転しました。
かつてのエバーは、若いお施主様がいらっしゃった時、私を含めてスタッフは同年代のような存在だったから、お相手のお施主様は言いたいことが言えたと思います。言いたいことが言える、って、とても大事です。では今はどうか?若いお施主様の前にだいぶ年上の創業者が挨拶に来るのって、どうなんだろう?と考えます。柔軟におもてなしをしたとしても、「ずいぶん年上の、しかも社長」というだけで、言いたいことが言えるでしょうかね?友達のような年齢の人間に比べたら、そりゃ言えないと思います。言えたところで聞き入れてくれないんじゃないか、なんせ向こうは何年も家をつくってきた大先輩だし、素人の浅はかさをさらけ出すだけだ、なんて思うかもしれません。こちらがそんなことはまるで思っていなくても、年齢の違いというのはそういうものです。
企業に若返りが必要というのは、厳然と世の中が若返っていくからです。自分だけがいつまでも若いと思っていても、周囲はどんどん歳の差が膨らんでいくのは仕方のないことです。世の中の若返りに対応するためには、企業は若い人をどんどんと採用し、企業として若さを維持していかなくてはなりません。
エバーにとって、若返りは喫緊の課題です。お施主様が言いたいことが言える、そんな風通しのよいエバーとして保ち続けるために。