日経平均が最高額を記録しました。30年前の価値に戻ったことを喜ばしいと取るか、以前に戻っただけと考えるか。エバーは3月で29期となるのですが、コロナでの異常たった契約数に比して現在はその2割減ほどにとどまりました。ご理解とゆとりのあるお施主様と共に落ち着いて仕事ができる環境であると感じています。
合わせて、左官職人さんやお付き合いいただいている電気屋さんといった密な関係者がこの落ち着いた時期を好機ととらえ、エバーに建築をご依頼くださるのはありがたいです。正直エバーの家は基本から意匠までこだわりを反映させるので、平均より多少は予算が必要になります。それでもやはり自宅はエバーがいい、と、エバーの仕事に携わる方々が思ってくださる。感謝の気持ちしかありません。
そして私の昨今は、極力案件はスタッフの実力に委ねる反面、私が絡む必要のある案件に思案をしています。かつてのようにホームセンターに出かけては、家づくりのヒントはないものか、と、若い頃のような感覚が戻ってきたりして、それはそれでうれしく感じています。
お金をかければいいというものではない、とあらためて思います。イーロンマスクと業務スーパーの発想が同じであると知り、強く共感しました。
たとえば、ロケットなんて何でもかんでもそのためだけに部品開発したらいくら予算があっても足りません。それこそ蝶番一つをとっても。そこでマスクは何度も開閉を繰り返すトイレの便座の蝶番の丈夫さに着目し、これ、使えないか?と直感したといいます。直接意匠を損なう場所でないなら、すでにあるもので良い物を転用させればいい。その通りです。
卵の価格が高騰した今、どうにかして今までと同じボリュームのある卵焼きを提供したい、と考えた業務スーパーは、ある食材に目を付けます。そうだ、大豆なら混ぜても工夫しだいで価格を抑えてボリュームがある美味しい卵焼きになる。害がなく、美味しく、お客様を満足させることができるのなら、こういう角度から商品を発想したっていいのだ、と。
イーロンマスクと業務スーパーに共通しているのは、お金をかけてそれを価格に乗せればいいという発想ではないことと、それをかなえる知恵があることです。私がホームセンターで部品を触りながらああだこおだと発想の裾野を広げていく行為も近しいのかもしれません。
仕事机がグラグラするといって、補強パーツのカタログを見て考えているスタッフがいました。それを見て、使えそうな金具が資材置場に転がってるかもしれない、と告げました。机の脚なんて覗き込んで見るものではないです。天板と脚を補強する道具ではなくても、住宅に使う強度の高い金具で、驚くほど頑丈なデスクに生まれ変わりました。