コロナ禍が続いています。エバーは昨期の収益が過去最高となり、その流れが引き続いているのでオフィスも現場も忙しく働いています。先のことは未知数ですが、ずるずると続かないことを祈るばかりです。
このような時に考えます。このような時だからこそ、でもありますが。楽をしてはいけない、とあらためて思います。
ある一件を思い出しました。エバーグループのフレンチレストラン「ル・ニコ・ア・オーミナミ」オープン時のことです。7年前、ル・ニコでは顧客管理システムを導入しました。7年前で、そのコストは100万円前後でした。フレンチレストランの経営という初の試みだったこともあり、ぜひ必要と判断しました。ちなみに今では同様のシステムが7万円前後で導入できるのですから、ITの進化に伴うコストダウンというのは驚かされますね。
念のために申し上げておきますが、今回の話のポイントというのは「今なら7万円程度のものを当時100万円で導入したことを悔いている」のではありません。
焦点は、そのシステムの導入の目的が、主として私や店舗のスタッフが、お客様の情報管理を楽にしたいがためにつぎこんだ大金であった、という点です。自分たちが楽になりたいからそうしたのでした。お客様のお名前、連絡先、予約状況の管理、アレルギーチェック、イベントやキャンペーンのご案内先、そうした基本情報をスマートに管理できることが、ずいぶん楽になるだろうな、と思ったのです。
まずは自分たちが楽になることが大切、と誰もが思います。しかし、今のこのコロナ禍になり、生活スタイルが変わってゆくこれから、新しい時代に生き残るために必要なことはそれではない。コロナ禍はそのことを教えてくれている気がします。あらためて「自分たちが楽になるかどうか」ではなく「それがお客様のためになっているかどうか」という考えを優先しないといけないな、と思うのです。お客様優先にものを考えない企業は、これまで以上にはっきりと淘汰されてゆくのでしょう。
初めての試みであったので必要なシステムだと思い導入したことは、仕方のないことであったと思います。しかし今になって考えてみれば、そうした顧客情報なんて手書きして保存しておいたり、片手間にこつこつ入力したってさほどの負担ではありませんでした。むしろそのお金の使い道を、自分たちが楽するためにでなく、そのお金でどうやってお客様をもっと喜ばせることができるか考えた方が、良いお金の使い道だったはずだと思います。