ルールの中で勝つ、それが勝つということ。

私も最近はSNSをよく活用しています。すると自然にさまざまな人の意見やつぶやきを目にすることになります。

政治家の方々のフェイスブックなどは、本当にその人の個性があらわされています。中にはどうでもいい内容のものもありますが、私がそういう方々に期待するのは「提案」や「解決策」です。しかしながら「批判」や「あげつらい」ばかりのものもあり、そういう発言をすることがちゃんと仕事をしていると主張しているような方々も多くいらっしゃいます。ちょっと違うなあ、なんて思ったりしています。世の中をよくすることが仕事なのだから、そのやり方を思案して欲しんだけどな、と。

優れた人物とは、現状をぼやいたり、悲観したりする人ではないと思います。やじを飛ばしたり文句しか言わないような場外乱闘ではなく、今あるルールの中でちゃんとものを言い、解決策を見つけられる、それができる人です。

先日、柔道で日本の影浦選手があの無敵のリネールを倒しましたね。約10年ぶりに敗北したそのリネールですが、彼がどうしてずっと無敵であったのか?それは、世界柔道の時とともに変化してゆくルールに毎回対応していく努力をしていったからです。消極的な態度に取られないように技をかけたふりをする「かけ逃げ」など批判もありましたが、それとて正しいルールの中で勝つための手段であり、度重なる世界試合を乗り越えていくための戦術の一つです。ルールが改訂されたらそれを真摯に受けとめ、また次の勝つための戦術を考える、ということの繰り返しは、まさしく「ルールの中で勝つためにはどうすればよいか」ということを思案し実行し続け、それが無敵の世界王者であり続けた原因だと言えます。

私の身近では、2018年よりスタートした「茅ヶ崎サザン芸術花火」を実現した茅ケ崎市長の逸話があります。サザンオールスターズの楽曲の世界観・リズム・メロディーが花火とシンクロするという未曽有の試みは、行政だけでは「今まで例にないからできない」という理由で実現に至らなかったことでしょう。そこを市長は、どこかから類似した実例を探し出してきて「こういう既存のルールが存在するのだから、あらゆる課題のルール違反にはならない」という説得を周囲に行い、実現に至ったのだといいます。

この2つの例は性格は違えど、どちらも「ルールの中で勝つ」ことを体現したものです。

世の中をよくすることが仕事の皆さんには、他者を批判したり、現実をぼやいたり、重箱のすみを突いたり、そういった場外乱闘ばかりではなく、きっちりとリングに上がってルールの中で勝つ、という姿を見せていただきたいものです。