何を大切にし、何を見直すべきか。

職人にいい仕事をしてもらいたい。しかしなかなかそう簡単にうまくはいかない現状がある。それが今の建築業界の現状です。

ご存知のように、職人達というのは日当で働いています。サラリーマンとは異なり、日々現場を渡り歩いて、その持てる技術や勘をケースバイケースで駆使していく職業です。考え方も仕事に対する姿勢も一般人とは異なるものがあり、それを一律に月給というかたちでは換算できない職業です。腕ひとつが頼りですから、腕がよければ稼ぐことができる反面、組織に守られていないことから、世の中が下向きに傾くと、そのネガティブな動向が露骨に収入に反映されてしまいます。

職人にとって、今は仕事がないというわけではありません。震災の復興事業もあり、むしろ引く手あまたです。しかし住宅は著しく二極化が進んでいて、建売住宅のマーケットが勢いよく拡大しています。建売は価格競争がつきものです。いかにして安く物件を提供するかと業界が考えた場合、それが職人の日当にも反映されてしまうのです。

現在、職人の日当は1万円前後であったりします。しかし職人は組織の恩恵を受けていないので、かかる経費は全てその日当の中から捻出します。額面通りに懐に入るわけではありません。道具代、消耗品、交通費、保険、雑費…それらを差し引くと、現金収入はおおむね6千円前後となるでしょうか。

かつて景気がよかった頃、知り合いの職人は3人の男の子を全員大学に行かせることができていました。しかし、今のこのような状態ではあり得ません。仕事が日々あっても、一日の稼ぎが6千円前後では…。

ここから先は、お施主様にぜひご理解いただきたい話であると思っています。これから消費税率が上がるという今は、とくにお話すべきと考えます。

エバーは、職人に対してリスペクトをし、大切にしようと考えています。それは、厚待遇にするという意味ではなく、冷遇はしない、という意味です。エバーを取り巻く職人連は、一人残らず誠実な仕事をします。そういう職人に集まってもらっています。彼らに対して正当な評価をするということです。正当に評価し算出される職人達への支払いについては、お施主様には、ご納得いただかざるを得ない、ということです。エバーは、いかにして納得のいく価格を出すか最大限の努力をする会社ではありますが、価格の安さを第一にした会社ではありません。むしろ、労苦を惜しまないで生まれる「質」が命であると思っていただければと存じます。

だからといって、指をくわえて消費税率が上がるのを受け入れるわけではありません。第一に考える「質」を維持しつつ、お施主様への負担を軽減する策を日々模索しています。

その一つとして具体的に可能なのは、徹底して部材の無駄を省くことです。今まで以上に徹底をして、です。エバーは木材の使用率が高いことが特徴です。一つ一つの家に応じた設計をすることから、画一的な使用方法を取ることが難しく、結果として坪単価当りの木材使用量は通常の1.4〜5倍になっています。これまでも資材の無駄は徹底管理していますが、それでもまだ見直すべき点はあると考えています。無駄を極限のゼロにまで近付けていこう、と考えています。
また、適材適所に県下の木材を使用することで、地産地消の補助を受けコストの削減につながると考えています。
そうしたことで、想定で3%の資材コストの削減を目標にしています。

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