私は日々のつれづれを気軽な日記としてブログを書き綴っているのですが、先日そこで子供の頃に読んだ漫画の話題を取り上げました。私としては何かのきっかけで急に思い出したようなことなので新鮮に思い、書いたつもりだったのですが、とある読者さん(貴重な昔からの愛読者です)から、「猪狩さん、その漫画の話題、確か4年前にも書いていましたよ」というご指摘をいただいたんです。そうだったのか、初めてじゃなかったんだ、と驚きました。子供の頃に影響を受けたことって、おそらくずっと心の底で眠り続けているものではなく、時おり何かのきっかけひょいっと記憶の底から浮き上がって来るようなものなのかもしれないです。面白いものだなあ、なんて思っていました。
そのことがあって、なんとなく4年前のブログを読み返していました。ブログを始めて間もない頃で、今とは違い、毎日のように面白がって書いていた頃です。
リーマンショックの影響で建築業界も大きく揺らいでいたあの頃、軒並みに会社が潰れていました。いい加減なもので、会社の経営状態をひた隠しにして契約を取り、お金だけ取って潰れるような会社もたくさんありました。ありきたりの謝罪の言葉と、儀式のように頭を下げて許しをもらった気になったような、そんな経営者がたくさんいました。泣きをみるのは帰らないお金を払ってしまった施工主と、倒産した会社で一生懸命に働いていた雇用者です。彼らへの救済は社会的にひどく冷たいものです。当時のブログで私はしきりに「経営者の社会的責任が甘過ぎる」と怒りの言葉をぶつけていました。同業の経営者としてより、むしろ同じ人間として許されない思いで心底怒っていました。
そして4年が経ちました。その経営者の多くは今、組織を変えて社長として復帰を果たしていたりします。会社を倒産させたことへの社会的な制裁が画一的に甘いから、復帰することにも後ろめたさがない人も多い、そんなような気がします。損をさせてしまった人達への代償は、社会的制裁ではなく、むしろその経営者の良心にかかっています。罪を感じない経営者は、罪をつぐなう必要性など感じません。「まあ過去のことは過去のことですよ」くらいのことかもしれません。
世の中、変わらないんだなあ、とつくづく思っていました。