子供って、すてたもんじゃない

小川道場参事である私は、道場がオープンして以来、土日は門下生の指導にあたっている。
小川さん自身の夢だった小川道場は、子供たちの健全な育成を、スポーツを通して生きることの喜びを体感してもらうことを第一に考えている。
その通り、キッズカリキュラムは子供たちはもちろん、教える側もいろいろ発見があって楽しい。

子供たちが目を輝かせる瞬間を目の当たりにできる。たとえば、小川さんが指を1本立ててみせる。「重心を上手に使うと、力を使わなくても相手はコロンと倒れるんだよ。この指1本だけで。ほら。」といって相手をポンと押す。倒れる。倒れた方も不思議そうな演技を見せる。みんながどっと笑う。すごいのは、それをやってみせているのが小川さん本人であることだ。入門するまで半信半疑だった親子さんが、「ほんとに小川さんがいる。話をしてくれている。」と驚いている。ほかにも現役の全日本クラスの講師陣が、子供たちひとりひとりに声をかけながら本人たちも楽しんで教えている。私自身も黒帯なので、「先生!」などと突然よばれたりしながら、照れながらも一生懸命に相手をしている。

子供たちは、あいかわらず体を動かすことが大好きなんだ。よかった。と、ほっとできる。
基礎体力を高めるランニングを「鬼ごっこ」形式ではしゃぎながら走っている時、道ばたですれ違う疲れ切った目線とは違う、生き生きした子供のまなざしが道場の外周を何回もまわっていく。
その時、小川さんは茅ヶ崎の子供達の、このまなざしが見たかったんだ、と思った。