雛人形の老舗である「吉徳」さん。その名匠による珠玉の雛人形について触れる機会がありました。その技の粋、手間のかけ方というのは、本当に感動に値するものでした。廉価品である型で造る雛人形とは全く別物の、一品至極の卓越した芸術品であると感じました。
そしてそれとは逆に、廉価品には廉価品の素晴らしさもあると思いました。多くの人に商品を提供するために、いかにして原材料をコストダウンし、作業工程をスリムにしていきながら、納得のできる品質まで高め、かつ価格を抑えることができるか。そういった努力がそこにはあります。
それを建築として考えた場合、神奈川で家を建てようと考える人、湘南に移り住もうと考える人というのは、やはり前者である傾向が高いと感じます。フルオーダーとまでは行かずとも、家を建てることの経過を大切にし、建売にはないこだわりを盛り込みたいという人が、首都圏ではとくに神奈川県ならびに神奈川県移住者に突出して多いようです。
横のつながりから建売住宅を専門にする同業者とも話をする機会がある私が感じるところによれば、今、先方の業界は増税前の駆け込みのお客様のための建築ラッシュであるはずです。そういう時の建築のスピードというのはすごいのです。何と上棟してから一ヶ月半で完成させてしまいます。もちろん何の準備もなしにできることではありません。資材の調達は事前段階から計画的であろうし、人手不足である職人の調達も周到なのでしょう。そうした陰ながらの努力をして、増税前に滑り込みたいお客様の要望を叶えていくのです。想像するに、打合せだけでも非常に時間を拘束されるはずです。関わる人員も膨れ上がるはずです。エバーのような企業規模では到底できることではありません。
そのようなお客様とは一線を画しているエバーの業態では、お客様も計画的なビジョンをお持ちであることから、増税前の駆け込み需要のパニックというものはありません。それは当然といえば当然の話でもあります。建売ではなくご自身の発想で家をつくりたいという方は、家というモノを買うだけではなく、つくるというコトを大切にもしていらっしゃる方だからです。家を持つということを、できるまでの経緯も含めて大切にお考えになっている方で、それなりの時間やお金の準備をされている方だからです。
よりお客様の満足をいただくために、今年はどうしたらよいかと考えています。要望をかたちにするためのレベルアップ、無駄を排除することでのコストダウン、それらは言うまでもなく、日々の細かなやりとりを大切にしていきながら悪しき所を改善し続けることが肝心であると、あらためて感じます。
そのためには、まず社長である私自身がおごりを捨てて、今まで以上にしっかりとお客様に向き合うような、エバー創設当初の志に立ち返ることが大切であると思っています。自身のブログにも書きました。今年は、昨年の自分を駆逐する年。後悔しない毎日を送りたいと思います。