応援したい人、応援したくない人

サッカーのワールドカップがとても盛り上がりました。前評判の良くなかった日本代表チーム、蓋を開ければ素晴らしい内容を残しました。アウェイで初の予選リーグ突破、その結果だけを取ればふがいないと思う人もいるでしょう。しかし日本のW杯での歴史はたかだか10年余り。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、イングランド・・・そういった強豪国が背負ってきたものとは時間も重みも違います。むしろ結果よりも、今回は試合内容です。みんなでひとつになってボールを奪って、ひとつになって点を取りにいく。レギュラーも控えも関係なく、みんなが願いをひとつにして全ての試合で全力を出しました。ずるがしこくなく、正々堂々と、ただひたむきに。だから感動を誘ったんですね。心から応援したくなったのですね。今回は負けたけど、次はきっと勝って欲しい、そう思わせてくれました。

そしてテレビのニュースは次の話題に移ります。そう、日本相撲協会です・・・。ここ数日はサッカーと相撲協会という、真逆の性格の報道がテレコで流されました。こちらはというと、ずるがしこい、の最たるもの。言い訳ばかり、なすり付けばかり、保身ばかりが見え隠れ。かしこいことは大切です、けれどあんな風にずるがしこいのは見ていられません。知恵も体も全力で向かっていったのがサッカーで、ずるがしこく逃げ回っていたのが日本相撲協会。

応援したい人とはどんな人か、応援したくない人とはどんな人か、非常に対照的なコントラストを感じました。

勝負事は、いや勝負事に限らず、世の中というものは、勝ってなんぼです。勝たないと次がありません。勝てば何でも言えます。けれども、ずるがしこく勝った人には、後がありません。困った時に誰も救いの手などさしのべてくれません。ずるがしこく勝つくらいなら、正々堂々と負けた人の方が、まだましです。「次に勝てばいいよ」と、みんなが応援してくれる人達がいるからです。

スペインとオランダ、勝ったらどちらもワールドカップ初優勝。この原稿を書いている時点で私はまだどちらが王者となったのかを知りません。けれども結果は明白です。1チームは試合に勝つチーム、そして残りの1チームは負けたけど次に勝つチームです。だって、次はもっと大勢の人が応援してくれるはずだから。そう考えると、一生懸命にやって負ける、それもなかなかいいものです。