用事があって久しぶりに東京に泊まりで出かけました。チェックインの時に流暢な英語で話しかけられて、ちょっと恥ずかし気に日本語で「チェックインを」と伝えたところフロントの男性が恐縮していました。いやもう、東京は世界の観光地なんですね。子供も行ったので東京タワーに登って、スカイツリーにも連れて行ったのですが、アナウンスからガイドの対応から全てがスマートな多言語対応。まさに世界の観光地、TOKYOです。
東京タワーにある種の感慨を覚えました。今の基準ではあり得ないほど鉄骨は細く、それでも高度経済成長の時代を乗り越えて存在しています。その後に出かけた次代の電波塔であるスカイツリーがいかに頑健であるかを感じさせました。スカイツリーは当時の価格で450億円。材料が高騰した今でも倍ほどはかからないでしょう。未来に必要な存在です。
東京タワーもスカイツリーも当時の技術の粋であり、その建築費や維持費は国民生活に豊かさをフィードバックしていきます。将来に渡って役立ちます。しかしながら世間には作った時だけ煌めいてその後のことは知らない、そんな無責任なお金の使われ方でつくられるものがたくさんあります。個人や民間が行うことであるならそれは文句を言う筋合いはありません。個人が高級品を買って不具合が起き、その修理に高級品ならではの高額な修理代がかかったとしたら、それを支払うのはその個人ですから。しかし修理の必要ができた時にそれを支払うのが公費や税金だとしたら、建てる時に修繕のことなど見越して考えなければならないのに、行政といった人々はそういった考えなしにつくってしまう、そんなことばかりです。地方の美術館なんかによくありますね、一流の建築家に芸術作品みたいな施設をつくらせたはいいものの、その後の補修に馬鹿げた額の税金が投入されたりしています。
その額の大きさには、既得権による中抜きという悪習も大きな問題です。いくらかかるという表面的な数字は、その大半が現場で働く者には行き渡らず、特定の個人や組織が搾取しています。建築の職人もその犠牲の一つです。さて、今回の総裁選はそんな「中抜き既得権の廃止」が一つの議題になります。いかに現場に利益を還元できるか、働いている人が働いている分だけの対価をしっかり得られるようにできるか。誰とは言いませんが、正しい目線を持った政治家が正しい声を上げています。
来年の大阪万博にはそのシンボルとして大屋根と呼ばれる木造のリングが予定されています。その額、350億円。「世界最大級の無駄遣い」と称され、お披露目前から早くも有名です。木の輪っかなんぞにスカイツリー級のお金をかけて、ねー笑。そのお金、誰のお財布にどれくらい入るのでしょう。
エバーが現在計画中の茅ケ崎のRCのマンションの話をします。お施主様が大手ゼネコンや著名な建築家のお知り合い等居られるにも関わらずエバーを選んでくださった理由の一つ、それはエバーが実質現場の人間、つくり手の集団だからです。中抜きだの既得権だのとは無縁に、ひたすらお施主様のために良いものをつくる、そういう実績の会社だからです。茅ケ崎の小さな一角に、日本が帰るべき姿があるのだと自負いたします。