いま何が重要なんだろう?とよく思います。それは意識して「考える」というより、意識せずに「思う」レベルですが。でも、それはとても大切な日々の動作だと思うのです。ちょうどアンテナが雑音も含めて拾うように、要るか要らないかは別としてとにかく拾っていくという、無意識の中の意識、のような習慣です。そして取り入れられるものは取り入れていく、古いものは置き換えていく。そのために、気持ちはいつもキョロキョロしています。
最近は私が主導となって、エバーのちょっとしたイメージチェンジを、さりげなく進めています。まずはロゴマークの一新。懇意にしているグラフィック関連のディレクターやデザイナーと共に考えています。今のロゴマークもスマートで美しいと評判をいただいておりますが、最近は「古いものは置き換える」ということのピッチがとても早く感じるのでしょうか、いま輝いて見えるロゴマークはどんなだろう、ということをあらためて思い、取り入れられるものは取り入れていこう、と考えています。
エバーのお客様はクリエイティブな感覚が優秀な方が多いです。お洒落を知っている人がダサい店員さんのいるブティックで服を買わないのと同じように、そうした方々は、自分の家を建てようとした時に容姿や考え方に鈍さのあるハウスメーカーや工務店に家づくりを依頼しようとは思いません。なんとなくここはわかっている、という人や会社というのは、そうした方たちに失礼のない顔立ちをして然るべきです。それは礼儀のようなものでしょう。そうした時、ロゴマークなどというものは、最初に品定めをされるものです。
そう、そうした変革のための作業というのは、単にトップの心変わりとか、暇だからイメチェンでもするか、というような底の浅いものではなく、「ちゃんとわかっています」という思いを伝えるために必要なものです。うわべだけの格好つけではなく、感性の優れたお客様を呼び込む、という実利をともなうからです。家づくりだけでなくカタログづくりにも気を遣っている部分とか、家づくりだけでなくエバーのグループ会社がどこも洗練されたロゴマークで統一されている部分とか、それこそお施主様や近隣住民様への態度ひとつに至るまで、失礼がなく美しい所作でいること。ちょっとした時代の変化に敏感であること。そうしたことが会社の格になるし、(失礼な言い方かもしれませんが)レベルの高いお客様を招く大切な要因にもなります。
家づくりの本質部分においては、最近は家具やテーブルウエア、アートなどで人気の「TIME & STYLE」さんと良好なパートナーシップをもっています。ご存知ない方のために、「TIME & STYLE」は日本の美意識を感じさせる家具や洗練されたスタイリングで、優れたセンスを放っており、六本木の東京ミッドタウンや二子玉川の高島屋などにショップを展開しています。ですから当然に高いクオリティがあります。またトータルな住空間をプレゼンテーションしているので、とても参考になると思います。「タイムアンドスタイル」で検索なさってください。すぐに見つかります。
そう言えば、最近ある人からこんなことを言われました。「猪狩さん、あなたは足し算や引き算はできるけど、掛け算や割り算ができない人だ」と。ビジネスにおいて、実際にやったことに対して少額でも確実な利益を得ることはできるが(足し算や引き算)、大きく投資をして損することも含めて大きなお金を動かす(掛け算や割り算)ことができない、という意味です。いやはや見ぬかれました。私には、コツコツとイメチェンなどして会社らしさをアピールしたり、いま話題のインテリアを紹介することでお施主様の生活感度を上げる努力は容易に想像がつきますが、5手も10手も先を見越して大きなアクションを起こすなどは、そういったノウハウは持たないし、第一どうも相に合いません。堅実な性分は、今後も変わらないような気がします。