朝飛道場の完成祝賀会でのひととき

先日、朝飛道場の完成祝賀会に招かれ、行ってまいりました。
いやもう、来賓の皆様たるや、そうそうたる顔ぶれです。「あ、あれは現役時代のその圧倒的な強さから“史上最強の柔道家”と称される、ロス五輪金メダリスト、山下泰裕さん! 柔道の神様!あ、あちらはロス五輪・ソウル五輪の頂点、斉藤仁さん!数ある世界大会で頂点でありつつ常に山下さんの壁があり、ついに天皇杯で日本一になった時“今までエベレストに登りましたが初めて富士山に登れました”という名言を残した斉藤さん。感動したよなあ!」などと、私はすっかりテレビにかじりついて試合を観ていた頃の自分に戻ってしまいました。そしてもちろん、この男もいます。バルセロナの銀メダリストにして現在は飛ぶ鳥を落とす勢いの小川道場、その道場長・小川直也さん!3人が揃って談笑している光景など、滅多に拝めるものではありません。「すごい・・・」一介の建築屋である私は、ただただ唖然とするばかりでした。そしてまた、あらためて朝飛先生の御人徳を感じた次第です。まったく私ときたら分不相応です。参りました。

さて、そろそろ宴もたけなわを過ぎ、そろそろ失礼した方がいいかな、と思いました。私と小川さんは同じ茅ヶ崎方面に帰るということで、失礼ながらひと足はやく退席させていただくことになったのですが・・・
その後、朝飛先生がしつこく私を探していたということを後日お聞きしました。何故かというと「素晴らしいこの道場をつくってくれたエバーさん、その代表である猪狩社長が来ているので、ぜひ壇上でご挨拶をお願いしたかった」というのです。

じょ、冗談じゃない・・・失礼、冗談はよしてくださいよ朝飛先生。子供の頃からの憧れの方々や、今日の柔道界を支えるお歴々を前に、私ごときが壇上でものなど申せるわけがないでしょう。そんなことになったら、恥だけかいてそそくさと壇を後にするのがせいぜいです。よかった、恥、かかなくて・・・。

私、恥をかくのは人一倍嫌いなのです。ひょっとしたら、私の仕事の原動力も、そこなのかもしれない、なんて思います。恥をかきたくないから勉強をする。恥をかきたくないから手を抜かない。恥をかきたくないから前進する。恥をかきたくないから・・・

長として人をまとめるには、相反する要素が必要であるとよく言われます。それは“自信”と“不安”、両極端で紙一重の心境です。考えてみるに私もそのようです。自信はある、けれどいつも不安で仕方がありません。安心しても、すぐに次の不安がやってくる、その繰り返しの日々です。けっこう疲れる性格なのです。そんなに疲れるのなら、何事も不安に思わず堂々と生きればいい、とお思いになるかもしれません。しかし、それができません。だって、恥をかいたら大変じゃないですか。

自分の器を超えた、分不相応なことは、スルスル~っと避けて生きていく。それが私の、正しい生き方なのです。
そうでないと、まったく、身がもちません。