良い空気が流れ始めたら、それを利用しない手はない。

メディアはただ受け入れるものではなく、利用するものであると最近よく感じています。体操の18歳の選手が協会を告発しました。よくもまあこうスポーツ界の「協会」にまつわる黒い騒動というのが続いていますが、今度は体操界です。誰もが口を閉じていたタブーがあって、納得のいかない既得権があって、どうしようもないと誰もが見て見ぬ振りをしていたところへ、彼女が一石を投じました。「メディアを利用すればいいんだ」という発想です。メディアはただ受け入れるものではなく、利用するものであることを感じたのだと思います。

メディアとは、ある情報が送り手から受け手に届くまでに間を経由する装置のようなものです。そう考えると、新聞やテレビといったマスコミだけがメディアなわけではありません。風評被害などは噂話が風のように流れてくるものです。その時はどこからともなく吹いてくる風が装置です。雰囲気がいい、わるい、などと言います。「なんかこの空間は雰囲気がいいね」などと日常で聞かれます。ただよってくる雰囲気、これもひとつの装置であり、誰かが何かを伝えようという思惑をもつメディアなのでしょう。

そんな風に考えると、私たちが働く中にもメディアは多数存在しています。スタッフを経由する書類というのもメディアだし、誰かの話を伝え聞くことにも人というメディアが介在しているし、何だかいい空気が流れている時には人を含めて空間全体がメディアとして良い情報を流しているのでしょう。会社の雰囲気がよい時は、そこに質の良いメディが漂っているのでしょう。

ところで、エバーの関連会社の業績が見違えるように伸びています。何か特別な企業改革をしたわけではないのですが、スタッフのモチベーションが上がったり、活気だつようになりました。それはきっと日々の積み重ねを怠らないようにしたからだと思います。みんなが気持ちよく働けるようにするにはどうしたらよいか?そんなことをスタッフの一人ひとりがあらためて実行に移すようになったからだと思います。そうすることで社内のムードがとてもよくなったのです。やっていることは特別なことではないかもしれません。汚れたところを見つけたらさっと掃除をするとか、植物に水をあげるのを忘れないようにするとか、他のスタッフが困ったら「どうしたの?」と声をかけるとか、そういったことです。ごく当たり前のことですが、皆がそうした意識を自発的に持つようになると、そこで共有されるのは、良い空気、です。空気や雰囲気という質の良いメディアを共有しているわけです。そして「質の良いメディアが発信されるようになったのだから、それを利用しない手はない」と、皆が思っているからなのでしょう。これもメディアの利用方法なのではないか、と思います。