道路交通法改正で違反も事故も減少
道路交通法の改正から半年。駐車違反の取締りが民間に委託され、当初は民間のドライバーとの意識のズレや衝突はあったものの、時間を経てプラス効果 が徐々に現われていることが調べでわかった。
その効果とは駐車違反の件数が減少傾向にあるだけでなく、交通 事故も合わせて減少したという点。ある地域では人身をともなう事故を含め改正前より15パーセントも交通 事故件数が減った。その理由として最も多く考えられるのが、駐車できない場所へは車で行かずに公共の交通 機関を利用したり徒歩で向かう人が増えたことによる、車利用の減少そのものがあるという。
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ライター(以下T):とても身近な話題です。
猪狩:今だに腹を立てているドライバーもいます(笑)
T:民間のおじさんに何か言われるのが腹立たしいと。
猪狩:「あなただって玄関先に勝手に知らない車が止まっていたら迷惑でしょ」って。今までが異常だっただけです。何のための「駐禁」標識だかわからなかった。
T:そうですね。あの標識だって我々の税金で立てるんだから、役に立たない「駐禁」標識なんて税金の無駄 ですから。
猪狩:それも面白い理屈ですね(笑)人間はルールがあっても「ああみんな守ってないのか、じゃあ俺もいいか」って、ついつい悪い虫が出る。今だにおかしいと思うこともあります。民間は罰金とられるのにゆうパックの配送車はいいらしい。そして巡回員も郵便局の車からは罰金を取ろうとしないらしい。それって法律的にOKなのかなあ。
T:モラルとしては最悪ですね。
猪狩:逆にね、今までの反省をバネに変える企業というのは実に強いと思うわけです。
T:というと?
猪狩:クロネコヤマトは今、駅前の空き店舗を借りて配送中継所を設けているんですよ。
T:へえ、気がつかなかった。
猪狩:そこにトラックを停めて、そこから先は荷車に乗せかえてせっせと運んでいますよ。人海戦術です。よく見かけますよ。それって仕方なくそうしている風にも見えるけれど、実はメリットがいっぱいあるんですよ。まずひとつは車両の出動台数が少なくて済むこと。ふたつ目は燃料費がかからないこと。それから、事故が減ること。まだあります。燃料を使わないから地球の温暖化防止、CO2削減に貢献できる。そして最後に、スタッフの健康管理。ふだんでも元気いっぱいのクロネコヤマトがますます元気になる(笑)
T:おお!(拍手)なんかまだありそうですね。
猪狩:これこそがまさに「企業努力」だって思いません?まさに「アイデア」ですよ。この話、私、新聞で読んで感銘を受けました。
T:ちょっとぐらいズルしていかないと・・っていう風潮があるじゃないですか。○○エモンとか○○ファンドだとかが出て来たりして、やりたい放題で。
猪狩:前総理の自由競争という発想は私はすごく好きなんですよ。ただね、ルールをちゃんと守ってやっている人が損をしたり、弱者を守れない国になってしまってはいけないでしょう。会社も人もこざかしいことなどせず堂々と努力とアイデアに精を出せばいい。
T:今のお話を聞いて、法定速度を遵守して高速道路を走っている企業の配送トラックをとても好意的にみていたんですが、何だかさらに好きになりました。スタッフに「こざかしいことなんかすんな」って言ってるんでしょうね。「俺たちは真っ当にがんばればいいんだ」って。
猪狩:「企業努力」ってそういうことなんですよね。こざかしいことじゃない。器量を映す鏡です。
T:人も会社も器量ですね。
※郵便局の小包集配について 1:現状はまだ公社につき公務となり、郵便小包は「郵便」として扱われている。そして2007年10月の公社民営化を機に公務ではなくなるので、一般の宅配便と同じ扱いになり国土交通省の管轄となるとか。 2:民営化に先駆けて、郵便小包の集配車の駐車禁止規制除外措置については早ければ2007年1月には解除される見通 し。