損得は大切な感覚です。本当にそれは得なのか?目先の金額ばかりに気を取られていると、それは結果的には損だった、ということもよくあるものです。
たとえば新築の自宅に取り付けたい設備が100万円であったとします。ある工務店はこのようなことを言います。「いえいえ弊社でしたら他社が100万円のところ90万円で何とかできますよ!」その会社は利益をキープするために交渉をし、直接製造工場まで行って設備を受け取り、運搬費を浮かせます。運搬の手間を考えて2名のスタッフが半日かけて製造工場まで出向き、えっちらおっちらと自車に積み込み、また半日かけて持って帰ります。仮にそのように2名のスタッフが携わったとして、かかったのが丸一日(8時間)とした場合、都合16時間の労力がそこに持って行かれます。さらには通常の運搬込みのサービスに含まれている手慣れた人の取付け業務や、そこに必要である材料や工具なども含まれていないのだからそうした時間や手間も追加で用意する必要があるのかもしれません。専門スタッフに代わってマニュアルも読みこまなくてはならなかったり。なんだかんだで30時間くらいの総エネルギーが必要になったとしたら、その会社はそこまでしてわずかながらの10万円という利益をつくることができた、ということになります。
実は、お施主様にとってみた場合、それは単に10万円の得をした、ということにはなりません。だって30時間という工務店の労力を本来しなくてよい運搬に使ったわけですから、その間にできたことをないがしろにされて損をしたということになるのです。
私なら、プロ集団であるエバーのスタッフにそのような時間の使い方をさせることはしません。
なぜかというと、お施主様に10万円程度の値引きと引き換えにするエバーの専門スタッフの30時間の労力の方が、目先の10万円をはるかに上回るだろうからです。30時間の労力があればその分そのお施主様の家を今よりどれだけブラッシュアップできるか、考えたり実践したりできます。その効用は10万円をはるかに上回ってかたちとなり、お施主様の得になります。
家づくりに限らず似たような事例が今後皆様に発生した場合、ぜひとも「どうして他所より安くすることができるのか」そのからくりをきちんと相手から聞き出したり、想像をしたりした方がよいかと存じます。納得できる答えが返ってこなかった場合、ひょっとしてその一見うまそうな話は、逆にとても損をしてしまう話なのかもしれません。