気心の知れたスタッフが独立のために退社することになり、送別会が行われました。
良い方向に育ってくれたので、これからも彼らとは仕事も含めて良い付き合いをすることができそうです。長年、同じエバーの屋根の下でやってきた我々なわけですから、今後もあうんの呼吸で良い成果を上げてくれるだろうことは、エバーにとって大きな財産になるでしょう。場合によってはエバーの中に価値観の異なる良い風を持ち込んでくれることもあるのかもしれません。
エバーという会社での私の人材育成の考え方は、「全てを学ぶべき」ということです。
設計であってもコーディネーターが仕事がしやすいようにと考えることが大切ですし、コーディネーターであっても営業が仕事をしやすいようにと考えることが重要です。それぞれの職分というのはあるにしても、自分のテリトリーのことだけをやっていて、他の人のことは知らない、というような仕事のし方はして欲しくありません。
「あ、その件は私の担当ではないので」なんていう言葉が会社組織ではよく聞かれますが、そういう意識の人間はエバーでは必要ありません。なぜなら、つくるものは一つだからです。
柱の位置、照明の位置、窓の位置・・・家のすべての位置には理由があります。
しかしそれを組み合わせる時に、構造面、配管面、導線、採光、その他いろいろの複雑な条件をクリアしなければなりません。そのためには自分以外の専門の領域とコミュニケーションをとり、折り合いをつけないと何ひとつ解決できません。折り合いをつけるためには、前もって相手の主張を想像しておくことが大切です。相手の立場を考えて解決策を模索しておくことが大切です。
だから、自分以外の領域の仕事も知っておくことが必要であり、そのために「全てを学ぶべき」と思っているわけです。
私がスタッフから仕事の報告を聞く時、そういった点がなされているかどうかを察してみたり、スタッフに問うてみたりしています。その練習は、ゆくゆくそのスタッフの大きな財産になると確信しています。答えを出すのは簡単です。
しかし大切なのは、問題を解くための道筋です。とくにエバーの仕事は大変だと思いますよ。
覚えたいくつかの公式だけで解こうとする人には、解けないことがいっぱいある会社だと思いますから。