素材そのものを磨けば、それで十分。

「企業には付加価値が必要です」と豆に進言してくださる方々がいらっしゃいます。ありがたいことです。ただその付加価値に対して、一経営者として私なりの考えのようなものがあります。
エバーという企業にとっての付加価値とは、お客様とのトークスタイルを徹底するとか、統一的なデザイン戦略にするとか、ありがちな一流の所作で揃えるとか、そういったこととは少し異なります。それらは得てして会社を上辺だけ取り繕う心配があり、会社の本質である「人」自体は何も変わらないことがあるからです。もっと本質の部分でスタッフの個々が成長し本来の実務が効率化されることが私の理想です。例えは難しいのですが実際は原始的なこと、つまり子供の頃に愛ある親から諭されてきたような人としてあるべき基本を体現できること、そんなことです。感謝の気持ちを持つこと。相手の心情を慮って行動すること。スピーディになるために凝り固まらずフレキシブルなものの考え方をすること。それらは確実に仕事を効率化します。個々が今まで以上に人としてのそういった付加価値を増すことができれば、それは仕事だけではなく、全てにおいて良いことしかありません。
ところで、素材を金属で覆うことを「めっき」と言います。めっきをすると、その本質である素材は隠れてしまいます。つまり、素材が安っぽい見栄えである場合にめっき加工をすると、なんとなく見栄えがよくなったり、高価な感じになったりします。ただしそれはあくまで表面を金属の膜で覆うだけなので、覆われた素材の本質というものは変わりません。ところで、最近ではいろいろな人のめっきが剥がれました。大手代理店が仕掛けた料理人とか、アイドル事務所の社長さんとか、海外に逃げて遠吠えした人とか、いろいろいらっしゃいます。そういった噂になる人は、上辺だけを繕っていためっきだけで乗り切れると思っていて、肝心の人間としての付加価値を育んでいかなかったように思えます。だからそのめっきが剥がれたらおしまいです。エンゼルスの大谷選手みたいにピュアに自身の付加価値を向上し続けている人には、めっき加工なんて必要ないのですから。
エバーのスタッフはめっき要らずの人材の集まりです。素材を別のもので覆って飾り立てる必要はなく、素材そのものを磨けばそれで十分に魅力的なのです。どんどんピカピカにしていきましょう。