素晴らしいロケーションを誇る高台の邸です。敷地形状に対して素直に建てるのではなく、敷地から見える江の島、富士山を意識してあえて角度を振った平面形状にすることで邸に個性が生まれるかたちとなりました。
また風致地区の厳しい建蔽率と低層の北側斜線をクリアしながらも、2階をLDKのみとし1階にその他の機能をまとめた明解プランという難しい課題にも、平面の斜めラインが効力を発揮しました。
ダイニングテーブルは有機的なラインが特徴のテクタ社製「M21」をすでにお持ちであるということから、それに見合うようにL型キッチンを壁付けとし相応の空間をご用意しました。壁面が鈍角になるところは梁の工夫で構造を補い、意匠にもアクセントを与えています。
内部は、1階はそれぞれの個室と水廻りのプライベート空間で、変形の個室を無駄なくすっきりと見せるように建具や収納を納めました。
当初は在来の浴室をご希望されていましたが、機能性とメンテナンスの面でユニットバスに変更。入口を全面透明ガラスにして、収納も背面にまとめ明るく機能的な洗面室になりました。
2階は間仕切り無しのLDKのワンフロアで、階段の右側がDKスペース、左側がリビングスペース。DKスペースはお施主様の手持ちのダイニングテーブルをイメージしてキッチン、バックセット、パントリーのレイアウトを設計と打合せしながら、壁面の飾り棚・タイルの色味なども決定しました。
リビング側はお施主様が一番にこだわった海をのぞむ大開口空間です。眺望をなるべく遮らないようにとのリクエストに応えて、カーテンもサッシ枠も壁で隠し、照明の写りこみも最低限になるようになるべくサッシから離した位置でグレアレスの照明を選択しました。3次元に変形した勾配天井の板貼りとあいまって非日常的な空間に仕上っています。