緑豊かな大規模分譲地に積極的に自然素材を取り入れた戸建ての計画になります。計画敷地は余裕のある整形地で、鎌倉風致地区のため家々が適度な距離感を持って建ち並び、気持ちの良い風が吹きます。この環境を活かした建物計画を主としています。
お庭を活かした1階LDKプランとし、大きな吹き抜けを設けることで広がりのある空間をめざしました。吹き抜けを囲むように配した眺めの良い2階の居室からは正面の山と金沢区や逗子市の街並みを望めるように開口を設けています。廊下を拡張し、機能を加えることで採風も取りやすくなり、吹き抜けを介した高低差のある計画とすることで空気の循環を計算しました。
長身のお施主様ならではの天井高さと自然素材による仕様設定とすることで、独特の素材感とスケール感を生み出しています。
素材にこだわりをお持ちのお施主様であり、その探究心はプロのこちら側が舌を巻くほどのものでした。「厳選した自然の素材を大切に自分たちでメンテナンスしながら暮らしていきたい。50年、100年後に後悔のない建物にしたい。」それがお施主様からのご要望です。
イギリスをはじめヨーロッパでは建替えに関する規制が厳しく、古い建物をうまくリノベーションしながら何十年~何百年住み続けるため、その素となる建物へのこだわりは並大抵のものではありません。そんな風に、日頃脚光を浴びることのない排水菅や給水菅、接着剤やコーキング材に関しても一つ一つ丁寧に調べ、選び、確認するという姿勢には本当に勉強になりました。
良いものを大切に使い続けるという基本的な考え方はエバーが考えるものづくりとも重なるところなので、紆余曲折しながらも軸がぶれることなく完成することができました。
終始、ご主人様の建築に対する並々ならぬ熱量と、随所に垣間見れる奥様を気遣う優しさがとても印象的でした。