自然豊かな山裾にありながら、駅まで徒歩圏内の好立地での計画。
配置計画としては、若干不定形な広い敷地に対して余裕をもった四角いボリュームを配することで、ご主人様の趣味の植栽が映えるような計画としています。長方形の立方体をベースに所々を中庭や吹き抜けとして欠きこみ、それらを介して採光と通風、眺望を獲得できるようにしています。
モダンな外観になりがちな軒のない四角い建物でありながら、大庇と落ち着いた色味の外壁や、軒天に張ったヒバ材が相まって和の雰囲気を醸し出し、周辺環境にも無理なく溶け込む仕様は、お施主様との綿密な打ち合わせがあっての結果です。
1階LDK、2階に居室の平面プランを基本に、奥様の趣味のスペースやご主人様の書斎といった個性が加わることで、オーソドックスではありながらもお施主様らしさをしっかりと兼ね備えた落ち着きのある邸宅です。
ご家族はそれぞれに独特の世界観をお持ちで、その世界観をなるべく損ねないように共鳴させながらつなげていくというコンセプトで内装のお打合せを進めました。個性的なモノを生かすためにそれ以外の部分はすっきりと納め、なるべく空間に余白が残るように心がけています。
リビングのエアコンは薄型の商品をお選びいただき、機能的に問題がないように壁の中に埋め込みました。壁面設置のオープンキッチンはリビングとの調和と利便性を考え、カウンター収納でスペースを仕切りつつ、壁面の個性的なタイルとバランスを取りながら一体化させています。照明器具や調度品は、高さや位置、取付方法を工夫しながらセッティングしました。
お施主様は遠方からのお打合せで直接現場での面会ができず、建物をご覧になる機会が少なかったことから、完成時にはとても喜んでいただきました。