お施主様は11年前に都内で歯科医院（せたがや歯科室）を担当させていただき、その後もクリニックのメンテナンス、ご自宅のフルリノベーションと長いお付き合いがある中、今回は奥様の開院にあたり、コンペに参加させていただきました。
採用をいただいた一番の理由は、引き渡し後11年経っても変わらない建物とデザインへの評価でした。
建物は地上9階・地下1階、テナントビルの1階路面に面していますが、駅の高架横にあるため外部のアピールも重要なポイントです。そこで既存の躯体に庇を跳ね出してその上にロゴマークを載せ、間接照明でライトアップしました。
地下のドライエリアをカバーするようにつくられていたデッキの一部も解体し、コーナー看板を設置。ネオン管を使用し、少しポップでキャッチ―なイメージで通行の方々にアピールしています。
内部はテナントスペースのほぼ真ん中後方に位置する900角のRCの柱を中心として動線をyの字で分け、その中心にアイキャッチとなるタモの無垢格子でR壁を製作。入口待合からみるy字右側のユニット面の壁は換気用に天井間300㎜の開口があり、そこを利用してアッパーの間接照明を設置しています。入口ドアはアルミの細フレームのガラス引き戸を採用しました。
躯体の梁と配管の床上げで狭められた縦の空間を、さまざまな視覚効果で解消しています。
ドクターやスタッフの動線、細々な機器や材料の収納、レイアウトなどは先生のご経験や外部スタッフの方々のご協力のもと、何度も打合せとシミュレーションを重ねて図面化していきました。
今回は工期もかなりタイトな中、お施主様、医療メーカーのスタッフの方々、エバーの内外のスタッフの協力により無事完成に至りました。