1960年代に開発された西鎌倉は、整理された区画によって緑地・日照が守られてきた土地です。区画という点では、建替え等も進み、古いものを護りながら新しいものを取り入れていく土地です。
そんな新しいものと古いものが交差していく土地ということから、温故知新をコンセプトに、その玄関口に位置する立地から、扇形の土地の最大幅を活かし、どっしりとした構えを意識したファサードとしました。
外観の落ち着いた色合いは、区画の擁壁である大谷石とのコーディネートを意識しています。
内部は各居室を大きく取り、吹抜けはない代わりに、天井高を高く設定しています。各居室からは緑が眺められるように窓配置に配慮した計画としました。
建物の内外に、落ち着いた街並みに合わせるように和風住宅の要素を取り入れました。玄関庇の重厚さを内部では格縁天井とすることで全体のバランスを取りながら、使い易く「和風になりすぎず」をテーマに仕上げています。
1階はダークトーンで落ち着かせ、窓周りや天井材に厚みのある木材を使用しながらも、手入れがし易い塗装を各所に施しました。パープルの挿し色は、アクセントになりながらどんな色調の家具とも調和のとれる色と考えて使用しております。リビングダイニングは家具の配置が自在にできるように計画しています。
2階は居室空間として明るく清潔なイメージを持たせました。東北向きの部屋へも日差しの明るさが届きます。