若干の高低差がある変形敷地へのプロジェクトです。土地選びの段階から関わらせていただいたこともあり、お施主様の持つ独特のこだわりを早々に感じることができました。そのこだわりを家づくりにも活かしていただきたいという思いがあり、なるべく既成概念にとらわれない提案をするよう終始心がけてきました。一見するとスタイリッシュでありながらも、遊びの効いたお施主様らしい邸です。
お客様に委ねる部分は委ね、趣味である大型バイクを収納するガレージへのアプローチ等、高低差が絡む部分はこちらで綿密な検討を重ねてきました。
基本構成は1階に水廻りとガレージ。2階がLDKとバルコニー。そこに各々の階で「居場所」をつくる感覚で、異なる大きさの居室や仕事部屋になりうる空間を配置しています。
メインとなるファサードは道路から見て手前を低く抑え(下屋)、奥を高いボリューム(母屋)とすることで、敷地に馴染みながらも立体感のある建物をめざしました。
仕上げ材はあえて構造材等を多用してざっくりとした手作りの風合いを醸しだしており、棚の位置や寸法は収納物に合わせて細かく計画されています。家具は極力扉を付けずに、見せる収納としており、仕切りで使用するBOX等の小物の大きさが予め考慮されています。
床材は1階から2階まで全てを同材とし、方向を同じ向きに統一させることで空間に広がりが出しています。サッシに合わせて黒板塗料を塗った家具が、ナチュラルな空間に引き締まった印象を与えます。
敷地を有効に活用することからリビングの斜め壁に窓を取付けました。そこからの借景が外界とのつながりを感じさせ、晴れた日も雨の日も穏やかな時間が楽しめます。