邸は西側隣地には大きな庭があり、その眺望や風通し、美しい夕日といったポテンシャルを活かそうと考える時、将来の隣地の庭が住宅に建て替わる可能性や夏の西日による熱とどう向き合うかが課題となりました。
広がりのある眺望は取り込みたいけれど、大きな開口部を作るには行く末の環境変化のリスクが大きい。
そこで、Low-Eガラスの細縦長の窓を連続させることで、西日の影響を極力減らしながらも、眺望が水平方向へと展開していくリビング空間をつくれるのではないかと考えました。
等間隔に横から入る光をそのまま空間の形とするように天井は、窓ごとに切妻型をかけたジグザグの天井としました。仕上げは、光を柔らかく反射し経年変化も楽しめるラワン合板貼りです。
中央に吹き抜けを設けた回遊性のあるプランの上に、連続する切妻が、山並みのような陰影や見え隠れをつくり出すことで、移動によって光や風景が移り変わり、また家族の居場所を見つける楽しさもある住宅をめざしました。