自然豊かで落ち着いた雰囲気ですが、いかんせん湿気がたまりやすく、日照が短い、そんな鎌倉らしい谷戸ならではの性格。そんな土地柄に対してどういう構えが良いのかを考えました。
風通しに配慮した細長い長方形の平面に、左官の外壁を守る軒をだした切妻屋根を架けました。1階は天井高を押さえて落ち着いた雰囲気とし、階段であがった2階は勾配天井からの柔らかい光に包まれる開放感のある空間となるよう配慮しています。
また玄関先のワークショップ、通り抜けクローク、扉付きユーティリティなど、コンパクトな住宅ながらも大きく使えるような計画としています。仲の良い5人のご家族が互いに気配を感じながら暮らせる、穏やかな住宅をめざしました。
山に囲まれ涼やかな風が抜ける立地のため、室内全体に珪藻土を塗り、子供部屋の建具には換気窓をつけるなど湿気がこもらないように工夫しました。
建具や床材・天井材は天然木を使用し、全体的にやわらかく月日とともに良い風合いが出る仕上げになっています。光を多く引き込めるトーンの明るい材料を使用しているため、室内も常時自然な明るさを感じます。
3人のお子様が一度に座れる大きなデスクが家の中心にあり、わいわい楽しく絵を描いたり勉強したりできるワークスペースも作りました。そこでたくさんの思い出がつくっていただけそうです。