12メートルの専用通路を抜けて、70坪程の矩形を有するお土地への計画です。お建替えということで、お施主様自身が土地の特性を熟知しているが故に、どう住みたいかという明確なビジョンをお持ちで、それをどうやって建築として構築するかが大きなテーマとなりました。
その中でも1階のLDKと庭の関係性については重点を置き、敷地の四方が建物に囲まれるようなシチュエーションのため、四角い土地に対して半分程をL字型のボリュームとし、残りをL字型のお庭+駐車場としています。
平面計画としては庭を柔らかく包み込むように斜めのラインを取り入れ、建物も下屋を多用することで庭への圧迫感を軽減しています。
床レベルに合わせてつくった大きなポーチと軒が、中間領域として1階LDKと外部を緩やかにつなぐ役割を担っています。屋根との距離感も近く、意匠としても大きく関わるため、屋根周りには入念なデザインを施しています。
全体のプランとしては、場所ごとの採光や視線の抜け方を考えながら、その場その場で適した機能を置いてあげて、それらをさらに機能を持った廊下でつなぐように計画を行いました。
外装は、校倉の左官仕上げや羽目板の木の質感にガルバリウム、鉄が合間った独特な品格を醸し出す邸となっています。
内装は、全体的にご主人のお好きな和のテイストで統一しました。玄関を入ると、まずリビングとの間仕切りに設けた天井まである3枚扉が印象的です。羽目板にカバザクラを選ばれたことで、重くなりすぎず優しい感じに仕上がりました。LDK部分は床材、造作家具の扉等タモ材とし、統一感を出しました。照明も間接照明を取り入れ、とても落ち着ける空間になったのではないかと思います。2階は、床材にメープルの無垢材を使い、明るく、また1階とは違った印象です。