配置計画は、南側が崖状となっていることから、北側の車庫前面のスペースと、崖の影響がでない範囲での配置調整を行いました。北側は屋外の車庫スペースの寸法を確保しながら、南側は崖面との適度な離隔を取ることで、1階からでも海側の眺望が十分に確保できる配置計画としました。
外観は、北側道路面にはなるべく生活観を出さず、建築の素材が引き立つファサードをめざしました。メインとなる外壁面はRCの打ち離し仕上げと天然石(玄武岩)貼りとし、静寂が感じられる意匠としました。なお、天然石は雨で濡れたときに表情が変化することで、素材の表情がより感じられるようになっています。
木造の部分はガルバリウム鋼板の幅広材を主とし、前面のファサードの意匠との連続性を確保しつつ、軒裏やバルコニーの内部など生活しながら目に触れやすい部分は、天然木の羽目板とすることで、柔らかな手触りと表情が楽しめる素材を選定しました。車庫部分は、車2台分の間口を確保することと、意匠上の理由からRC造とし、住宅の部分は木造の混構造となっています。
エントランスは道路面からの引きをとり、玄関での折返しをつくることでゆったりとしたアプローチが感じられるような構成としました。
また1階は寝室をメインに配置することで必要な壁量を確保し、2階リビング空間の開放性を確保しました。
鉄骨部材で補強された片持ち構造の階段を上ると、キッチンからパントリー、洗面室、リビングまで回遊できる動線を確保しており、海側の眺望を最大限に活かしながらも、日々の生活もしやすい動線計画に配慮しました。2階リビングの海側に面する開口部は、準防火地域の延焼ラインを防火そで壁を設けることで解消し、眺望を遮らない透明な窓と、木造用サッシの最大寸法を確保することを可能にしています。
アプローチから続く、玄関・階段のイメージは、静謐なる空間。全ての喧騒をこの空間で、遮断する・・・そんなイメージで作りました。
2階のLDKは、南面の景色を生かしたデザインで、キッチン・ダイニング・リビングのどの場所からでも視線を遮ることのないよう、景色を邪魔することのないように気をつけました。
キッチンのレイアウトは、何度も奥様とお打合せを重ね、ユーティリティとの家事動線のシュミレーションなどをしながら、広すぎるが故の無駄なスペースや動作を極力なくすように考えました。
設備面では、当初全館空調をご希望されていましたが、要所要所の暖房、冷房、自然空調をお打合せしながら、深夜電量を利用した蓄熱暖房機やビルトインエアコンをご提案しました。
※2016.11 写真差し替え