鎌倉を代表する場所である御成通り沿いに計画するということで、周辺の街並みとの連続性を重視した建築のボリュームを模索しました。
通り沿いのボリュームは4階部分をセットバックさせることで、4階建てでありながら3階建てに見えるような建物のボリュームとし、周囲の建築群とのスカイラインの連続性が感じられるように配慮しています。これは鎌倉市の景観条例の指針に基づいています。
路地側のボリュームは、ファサードの形状と素材に切り替えを行い、縦方向に分割することで徐々にスケール感が小さくなっていくことを意識し、商業系地域から住居系地域へつながる路地裏空間の緩やかな連続性が得られるように意図しました。このセットバックとファサードの分節は、天空率による道路斜線制限の回避と、住居系地域への日影規制をクリアすることも両立しています。
商業ビルという観点から、高い有効率(レンタブル比)が確保できるよう、コアとなる階段やエレベーターシャフトと共用部を建物中央の道路面(路地側)に集約し、テナントの平面は変形した敷地形状に沿うように計画しています。
通りに面する建物のファサードは、白のプレーンなタイルに白い目地とし、湘南エリアに映える外観を意識しています。また通りに面して大開口のシャッターを配することで、入居テナントのニーズに応じたフレキシブルな計画となっています。
外構の石畳は鎌倉市道路課と協議の上、前面道路と同等の仕上げとし、連続性を持たせて通りの美観を損なわないように配慮しています。バリアフリーの条例に即した建物を目指し、障害のある方でも安全に利用いただけるよう配慮しています。