南側と西側の二方向を道路に囲まれた分譲地への計画でした。日照条件が良いということもあり、開口部の大きさはプライバシーが保てる適度な大きさとし、西面から南面にかけてをメインのファサードと据えて、それを強調するように腰高の開口を連続的に設けています。
バルコニーには西日を遮るように屋根と連なる壁を設けて、南にいくに従い高さを低くすることで、機能面と
意匠面の両立を図りました。
機能を持った室の大きさを決定する際、既成概念にとらわれることなくお施主様の生活スタイルから導き出されたサイズ感で構成しました。間取りが、そのまま個性として建築に表れています。
構成面では初めてお会いした時から「リビングでは子供達が走りまわれて、でもカフェのような空間でありたい」、「たまにはプライベートな和室を楽しみたいけども、リビングとの一体感も欲しい」、「サニタリーは大きすぎず小さすぎず、でも収納整理や洗濯が楽しい時間でありたい」等のご要望をいただき、少しずつ具現化していった経緯があります。そういった願いを少しずつ大きくしていくことこそ仕事の神髄であると感じました。スタートからのべ260日ほど経った頃には、そこでの新たな暮らしの始まりの高揚感が伝わってまいりました。