敷地は海に近く、低層住宅が並び、日当たりがよく東西に延び、西側は道路に接しています。前面道路は行き止まりなので、転回できる十分な駐車スペースを確保するプランからスタートをしました。
敷地に十分な広さがあるので、南側をあけて東西に長い建物とし、1階リビング・お庭、とするのが通常のプランで、同じような配置の建物が並んでいましたが、近しいプランではお互いが遠慮し合うような関係になってしまいます。
そうした理由から、2階にリビングと広いバルコニーがあれば1階は機能性重視で、とのご要望でしたが、それだけでなく環境を生かしたプラス活用が1階にできないものかと思案しました。
敷地はさらに南西への開放感があったので、この方向がバルコニーであれば、建物を閉じた形にしても、1階にも光を落とすことが可能なことを見出し、中庭という発想の転換に至りました。
そんな中庭では、ウッドデッキを敷いたことにより「玄関ポーチ」「ご趣味であるサーフィンが楽しめるスペース」「外観のアクセント」としての機能を生み出すことができ、2階はまた中庭を囲むL字型のバルコニーとなったことで「物干しスペース」「くつろぐためのスペース」「お子さまが走り回れるスペース」としての、緩やかに分けられたセカンドリビングの機能ができました。閉じるところは閉じ、開くところは開くことによって、周辺環境との距離感を保つプライバシーに配慮した豊かな回遊動線が生まれました。
内装はなるべく白でシンプルにまとめ、キッチンや他の家具が引き立つように仕上げています。洗面化粧台は造作しており、モルタル調のカウンターに、下部の収納部分は集成材で組んでおり、使用するカゴなどを考慮して寸法を定めました。