茅ヶ崎のゆとりある旗竿敷地への計画です。二世帯でのご計画ですが、広い敷地を活かし建築面積の半分以上を
平屋の計画とし、屋根勾配を5寸とすることで壁面よりも屋根に印象が残るようなプロポーションをつくりました。
2階のボリュームはバルコニーを挟むかたちですが、下から見上げた際の屋根のラインが1階のボリュームと揃うように計画をすることで、大屋根による構造計算の複雑さを回避しながらも1枚の屋根に見えるよう工夫しています。
二世帯ともに建物と庭の間に縁側を設けることで中間領域が生まれ、外部と内部が緩やかにつながるように配慮しました。
玄関はひとつで、廊下を介してつながる二世帯もまた緩やかにつながることを意識したプランニングとなっています。それらを大らかに包み込むような存在が屋根であり、原風景として住み手の心に寄り添っていく建築を考えています。
内部は、玄関を入ると廊下の左右対称に親世帯、子世帯につながるそれぞれの扉。その扉から先はそれぞれのプライベート空間で、玄関~廊下~和室のパブリックな空間が外から続くこの建物の顔としてご提案いたしました。
玄関框の両側の柱は120角の化粧柱に交換しています。和室の入り口の4枚建具は鴨居を1900の高さに抑えて重心を低くすると共に、和室、玄関の明かりが漏れるように格子の障子をご提案しています。
和室の壁は京壁左官、天井は和紙の重ね貼り。真ん中に間接照明を入れ込んだ格子の和紙も天井と一体に見せるように巻き込み仕上げになっています。
開口部の格子も窓の大きさに合せて間隔と太さを変えるなどして、重くなりがちな和室のしつらえをしなやかな感じに納めました。
親世帯はLDK~寝室~水廻り~LDKと回遊できる動線を意識して、収納、設備、家具位置、配線などをお打合せいたしました。内装材も色を抑えて落ち着きのある色でまとめています。
子世帯のLDKは南北に延びる縦長のレイアウトで、奥のリビング壁面にケイミューのスレート材(ソリットM/セメント)とユーカリの突き板材の建具でポイントをつけました。
オープンキッチンのため機能だけでなく家具の要素も含んだキッチンハウスのメラミン仕様をお選びいただきました。