面積33平米(約10坪)の敷地に建つ、建築面積6坪を割った俗にいう狭小建物です。
故にほぼ敷地いっぱいの平面計画となり、設計者に関わらず同じような建物となることが多いのも特徴です。建物の転売や賃貸としての機能も要求されている手前、「個性」というのは重要なファクターとなり、いかにそれを自然に表現できるかというのも設計者としての腕の見せ所です。
「今回はそれをどう落とし込んでいくか?」と考えた際に辿り着いたのが、屋根形状でした。
内部空間を考えるのと等価に屋根形状を考えていった結果、勾配のついた切妻屋根がエントランス方向に向かって突き出した船底屋根となり、それがこの6坪に満たない建築に唯一無二の存在感をもたらしています。
内部はできる限り無駄を省き体積を確保することで、平面からは想像もできない大空間となりました。
要望、敷地形状、法的な制限から生まれるボリュームに、ほんの少しの操作を加えるというデザイン手法に、改めて信頼を置くことができた邸だと思います。
空間が少しでも広く感じられるよう室内は明るい色にし、同じ材料であるホワイトアッシュで統一、すっきりまとめています。