一般的な3LDKについて考えていく中で、限られた土地の限られた建築面積を小さな部屋で割っていく行為は、薄暗い空間がいくつもできてしまう、という難点があります。しかし、機能を兼ねたり、向きやスケールや関係性を少しずつ換えていけば、明るく広がりのある大らかな3LDKがつくれるのではないかと考えました。
当邸は、玄関・ホール・階段をひとつにし、明るい広がりのある吹き抜け空間とし、 洗面とトイレを兼ねることで余裕のある水廻りとしています。
また、クロークと廊下を兼ね、家族全体の収納とすることで、ライフスタイルの変化していく家族の荷物を吸収できるようにしています。
LDKは、ほぼワンフロアで一室とし、冷蔵庫収納を大黒柱のようにボリュームとして立ち上げることで、視覚的な回遊性をつくり出しています。
バルコニーは、あえて建物に対して沿う形ではなく、南側へせりだしていく形としています。
土地の一番奥にアイキャッチをつくりながら、庭やその先の松林を囲いとる役割をしています。せり出したバルコニーの下は、大きなポーチ空間とすることで、庭に付随するくつろぎ空間として機能するようにしています。
内装は、20代~30代ファミリー向け、アウトドアの趣味を持つイメージで仕上げています。
仕上げ材は木質感を出しつつコストを抑えるため構造材をそのまま使用、ビス打ちや多少の傷は「味」として残し、経年を楽しむ家になることでしょう。
家事動線を短縮できるよう、キッチンの天板が外せたり、狭い空間を利用した収納などのご提案をしています。
居室空間は、あえて扉で塞ぐことのないウォークスルークローゼット兼廊下の設計で、小さな子供が廊下で本を読んだり絵を描いたりできるスペースとしても考え出されています。
このように、邸の全体を通して多様な使い方ができる空間づくりをめざしました。