プライバシーを守りつつ、開放的なリビングデッキの空間があり、地域ともほどよい距離感をもった邸です。
当初、LDKは1階を希望されていました。理由はウォーターサーバーの水を運ぶためです。そこで、思考錯誤の上にたどり着いたアイデアが、宅配便専用の玄関と階段でした。
土足で2階まで上がれるように、床は長尺シートで仕上げ、セキュリテイのため玄関に電気錠をつけ、2階の室内側にも鍵を設置しています。荷物はインターホンと電気錠を使い、リビングに居ながら2階まで運んでもらえるような負担軽減策を実現しました。そのことでLDKと水廻りは2階に設置することが可能になりました。
よりプライベートな空間を充実させるために、バルコニーには可動ルーバーを付けました。隣家からの視線は遮りつつ、通風・採光をうまく取り入れることができます。お風呂上りのご主人様のくつろぎを約束する設計です。
デザインのポイントは、玄関横のFIX窓から続く広い廊下の空間と、廊下の奥にある階段の見せ方です。玄関から見える切り取られた鉄砲部分を、いかに印象的にすっきり見せるか。片持ちの階段のささら(支え)を鉄骨にして、手摺と一体化させて鉄骨の揺れを最小限に抑えました。寸法に逃げがなく、階段屋・鉄骨屋・大工と何度も入念な打合わせと寸法出しをして、どうにか完成にこぎつけました。
全体的なイメージは「シンプルで直線的なシルエット」が奥様のご希望でした。そこで、余計なラインが出ないように窓・建具等の位置を指示していきました。 家事動線は、キッチンを中心に、洗濯・掃除がスムーズにできるよう、配置や建具などに気をつかいました。