茅ヶ崎市内でも人気の高い東海岸北エリア。「既存庭園と建物との関係性をデザインすること」「245平米の広い土地の利を活かした平屋をベースとした設計にすること」がテーマとしてあり、隣接家屋の配置とボリュームがつくる混沌を少しでも秩序たらしめ、住環境を向上させることにつなげようと考えました。
配置計画はコの字型プランとし、既存の庭園と建物の間にもう一つ庭としての機能を持った外部空間をつくり、それをロの字型になるように門型の壁で囲うことで、建物内部→建物外部ではなく、建物内部→内庭→外庭というグラデーションを設けて庭との関係性を強くしています。
門型の壁は長スパンの柱間を飛ばすように架けた梁のたわみを阻止する頬杖を隠すようアーチ型にし、庭を内外に分けるだけでなく、既存の庭園を縁取る役目も担っています。
平面計画は1階をLDK、水廻り、客間(和室)、2階を居室とバルコニーのみとし、建築面積の半分以上を単層とすることで周囲に溶け込むボリュームに抑えました。
エントランスホールとLDKをつなぐ廊下は、木製サッシ越しに庭園を眺めるための装置ととらえ、あえて長廊下としています。サッシに合せた木製階段の下はカウンターを設置することで、読書やデスクワークのスペースを想定しています。
和室は内庭をはさまず外庭とつながる配置とし、LDKとも離したことで独立した離れのようなイメージ゙としました。リビングは単層を活かし、屋根に合せた勾配天井とすることで空間に広がりを持たせました。
外部単層(平屋)部分は白い左官仕上に黒い屋根で和の雰囲気をつくり、それより上(2階外壁、屋根)はグレー系の色調とすることで洋のイメージを持たせました。全体としては要素の少ないモダンな仕上げとすることで統一感を持たせています。
設計の意図を生かし、内部も中庭を臨む廊下階段スペースを中心に、つなぐ・つながるをイメージして内観を考えました。また建物の一番奥に位置するキッチンの面材に印象的な柄材を用いて、玄関・廊下からの長いアプローチのアイポイントになるようにしました。
リビングの大きな勾配天井は、天井の両端を折上げ、間接照明を入れることで、天井を軽く、浮いたようなイメージにしました。せっかくの勾配天井を生かすため、照明器具は極力天井にはつけず、間接と周りの光、床面に置くスタンドなどで光を補います。玄関脇の和室は、少し他の空間から逸脱した感じにするため、タモ材と漆喰の組み合わせを素材の美しさを生かして、上品に仕上げています。
2階は、天井・梁を活かしたコーデイネートで、フロアもオーク材の広幅のオイル仕上げを使い、1階のイメージとは違う明るいイメージにしています。