「富士山、江の島、太平洋が望める素晴らしい環境下にセカンドハウスのように生活をしたい」というご要望にお応えしました。建物をどうつくるか、というより、現地に赴き「どの場所からどう景色を切り取り、どのように生活をするか」というお声に対して単純にそこに地面をつくり壁をたて屋根をかけ内外を分けた結果、建築となった…そんな感覚に近い設計の仕方をしています。

でき上がったゾーニングに動線を踏まえた「ある程度の整理」をおこない、お施主様のご要望であるインダストリアルの雰囲気を意識した化粧を施すことで最終形としています。

一見複雑な空間構成ですが、平面としては、四角形を二等分し一点を軸にして両者を敷地形状に合わせて傾けただけの形となり、双眼鏡のようにも見える平面形状になっています。

空間構成のご提案では、自然・西海岸・インダストリアル・そこからつながっていく海、とういうイメージをベースに、エントランスから土間や和室を「静」、2階のリビングダイニングを「動」とすることでゆるやかにシーンを紡いでいきました。それを共通イメージとし、細部はつくりながらお施主様と共に考え抜くといった試みをおこないました。

つくりあげながらの構成は、デザイン提案をする側よりも受け手側であるお施主様に相当の覚悟が必要です。ある程度決まったものでスタートするプロジェクトと違い、途中で迷うことも、揺らぐこともあります。その中にあってお施主様が当初のイメージを貫かれたことに感謝申し上げたく思います。