南西に接道したL型の変形敷地に立つ邸です。車2台を確保し、効率よく玄関を設けた際にできる斜めのラインをそのまま建物の輪郭としています。そこにLDKまでのアプローチを配し、ホールから扉を開けると吹き抜けたリビングとなり、空間が緩やかにつながるような構成としました。
吹抜けに階段を設け、開口にも秩序付けをすることで2階への連続性を強調しています。
キッチンからの外部の見え方を優先して開口を設けたことで、レイアウト上、暗くなってしまいがちな場所に配されたキッチンに感覚的な豊かさを感じられるようにしました。
前面道路からの見え方を考え、道路側は一段上がったところを床とし、下部を収納としてプライバシーの確保と空間のアクセントを兼ねたスキップフロアの和室としました。
このような1層・1.5層の下屋・2層の母屋がそのままファサードをかたちづくり、手前の低層のボリュームから奥にいくに連れて高層になる建物構成は、街への圧迫感を軽減して既存の建物群に溶け込むように配慮しています。
内装は落ち着いたニュートラルカラーで統一させ、シャープになり過ぎないよう細かい部分のデザインを考えて、若い世代にも中高年層にもゆったりと使えるように心がけています。個性的な形状の土地であるものの、建物の内部は効率的であり、リビング入口から見渡す空間は広々としています。
2階への階段下の空間も小上がりを付けているので、和室のステップや小上がりに人が集うことができ、週末に友人が集う時などにもひと役かうことを想定しています。