逗子マリーナと海、その先には江ノ島が望める変形した立地です。お隣がお施主様のご実家ということもあり、昔から見ていた海の景色を新居でも再現したいというご要望に対して、さまざまな方法を駆使して配置を検討しました。当初は2階建て、3階建ての案もご提案させていただきましたが、どの方角にどのように景色が見えるかを加味した上で必要な機能に必要な高さを加えて配置していくことを繰り返し、現状のスキップフロア案に落ち着いた経緯があります。
それぞれのフロアからの眺望を活かした理想的な窓の切り取り方を行い、窓の景色に合わせた内装をイメージしています。
とくに2つの空間は対照的で、特徴的に仕上がりました。ひとつは、1階廊下の突き当りの壁~廊下~玄関からつながるゲストルームのピクチャーウインド。この一連の空間(天井・壁・床)は、同じ幅狭のフローリングを使って長手方向に流して流れを作り、高さも明るさも極力おさえて窓の外の景色(緑)に視線が集中するようにしました。フロアの幅や厚みを計算して他の壁や天井の仕上がりの幅・厚みを整えた緻密な空間が予想通りに仕上っています。
もうひとつは、2階を過ぎて2.5階に設けたこれまでと一変して光に満ち溢れる海側の大開口です。ダイニングキッチン側から見えるバルコニー越しの江の島・富士山の絶景と、スキップしたリビングの奥に広がる空につながる景色、その両方が遠近的につながって見えるよう、また景色を邪魔せずにつながるよう工夫しました。スキップする壁・ステップにも床と一体化するように床材を貼り上げています。小口や重なりはすっきりとスムーズに、大工の卓越した加工技術が光っています。
リビングダイニングはもちろんのこと、グランドレベルに位置する居室からも眺望を楽しめるように間取りを工夫しています。
ユニットバスからの眺望は腰壁をアイアンでつくることで確保し、内部の仕上げも眺望を邪魔しないような配慮を最優先しています。
高台かつ車両が進入できないという条件もあった中、お客様の並々ならぬ眺望へのこだわりを原動力に生まれた邸です。