敷地は相模湾と藤沢市内を高台から眺めることのできる環境下にあり、先日お引渡しさせていただいたF様邸の隣に位置します。環境が類似しているF様邸とコンセプトは同じく、眺望のよい2階にLDKを配し、1階に居室をまとめる間取りとなっています。
しかしながら今後の街並みの変化を加味するとオーソドックスな2階建てでは眺望を維持できない可能性があり、検討を重ねた結果スキップフロアの構成に落ち着き、2階建てではあるものの屋上を入れた5層からなるフロアレベルを要することで、結果としてさまざまな高さから眺めを楽しめる邸となりました。
眺望のよい場所での開口を計画する際には、採光と採風/眺望は時に切り離して考えるようにしており、今回も適材適所に開口を設け、全体としてバランスを整えるといった作業を行って決定しています。さらに今回に至っては申請機関からの換気についての指摘もあり、より綿密な計画となっています。
内装はなるべく材料を統一し、機能に対しても最低限の操作で成り立つような工夫を凝らすことでシンプルな空間をめざしました。
床板はオーク材で統一はしているものの、色味を3段階に分けることで空間ごとのテーマに合わせるかたちで若干の表情の変化を加えています。
照明も必要なところに最低限の計画とし、所々に調光や人感タイマーを設けてシーンによって変化を楽しめるような照明計画になっています。
眺望のための間取りを優先することで1階の廊下が長くなったことを利用し、5メートル以上のライン照明を天井にいれてアクセントとしました。
全体を白、グレー、木質系の明るめの色でまとめている中に、内外観ともにご主人様の好きな青がアクセントとして入ることでお施主様の「らしさ」が際立ち、好感が持てる邸として仕上がっています。