風通しが良く鳥のさえずりが聞こえる閑静な住宅街。海からの気持ちのよい風が通る心地いい環境で、小高い山のほぼ頂上に位置する敷地です。ここにご夫婦の終の住処として計画しました。これまでご自宅を数件建てられたことのあるおしどり夫婦で、建築にとても理解があり、長年の経験則から建築に限らず興味深いことを教わる機会も多くいただきました。基本計画の段階でお孫様との季節ごとのイベントを楽しそうにお話しされていたことも印象的でした。
全体は風をいかにして取り込むか検討し、中庭のあるコの字型の平面計画とすることで風をキャッチして室内に取り込むことを考えました。
1階は寝室等の居室とし、2階にLDKと水廻りを配置しています。LDKの大開口からは鎌倉の山並みを望むことができます。
北側に位置するメインファサードは家形でできるだけシンプルな設えとしました。また室内窓を設けることでトイレ内の明るさを確保しています。これはメインとなる外観にトイレの窓を設けたくないためです。
“楽しく”なるような色合いをご希望のお施主様。そこで内観はホワイトを基調とし、アクセントとなる箇所には明度が高く彩度が低い色味を選定し、心地よく楽しい気持ちで過ごしていただけるようご提案させていただきました。
1階の和室は、和室という室名ではあっても明るくモダンな仕上がりになるよう、建具も他の居室と合わせて、縁なしの優しい色味の琉球畳を選定することでよりモダンな印象となるようにしています。
居室となる空間にはウィリアム・モリスのデザインを大胆に取り入れ、見ているだけでも楽しい空間にしています。
1階は明るい色味の床材、2階はお持ちのインテリアに合わせて落ち着いた色味の床材を選定しました。リビング空間は大きな窓に、景色が広がる眺望、さらに屋根なりに天井が高い空間となっているため、落ち着いた色味の床材を選定しても重い雰囲気にならず明るい印象にしています。
プライベートな居室空間もご家族で楽しむリビング空間も明るく楽しく過ごしていただける空間づくりを心がけました。