住宅密集地のクルドサック(行き止まり)に位置する、木造3階建て、全7戸の共同住宅です。敷地が一種低層住居専用地域と一種住居専用地域にまたがる位置にあり、一部が2階建てのヴォリューム。各住戸の避難通路を確保しつつ、収益物件のため敷地いっぱいにプランニングを行いました。
賃貸住宅は一様な間取り構成、仕様にすることが一般的だろうと思います。それはいろいろな意味で理にかなっているからに他なりません。
しかし今回この建物は、間取りも内装の仕様も異なる組み合わせで計画を行っています。敷地が持つ特徴と、そこから新しく作り出す空間と、nLDKでは表せない住まいのかたちを提案しています。
敷地が整形地ではないため、各住戸はすべて異なるプランとなり、それぞれが特徴のある空間構成となりました。四角い箱ではないぶん、そこから生まれる余白がこの建物のエッセンスの一端を担っています。
2階の2部屋は、3階を利用するメゾネット形式とし、鉄骨造の共用階段は2階までの仕様となっています。3階までの共用階段が必要ないためコスト削減につながっています。
敷地西側の地域は、低層住宅のエリアになるため周辺の建物が低く、3階からは富士山の眺望が得られます。
共用部の廊下の壁にはアイアン工房様との共作のオブジェが設置されています。夕暮れを迎えると、天井に埋め込まれた照明に照らされ、印象的な表情へと変容します。
お施主様とのお話しからふくらんだ数々のイメージがつまった共同住宅。行き止まりの建築物は比較的暗い印象になりがちですが、今回の計画により、明るく風通しのよい茅ヶ崎らしい景観となりました。