スケルトンでのお引き渡し予定だった店舗を、お客様のご依頼にて内装まで携わらせていただけた物件です。店内コンセプトが1階と2階で異なりながらも統一感のある仕上がりにしました。
商業建築においてインテリアデザインが果たすべき役割は、人を集め賑わいを生み出し、ビジネスを成功させる一端になること。今回のようにむずかしい条件が重なり合うときはリクエストを叶えることに終始しがちですが、先達の「助けてほしいという声を聞く」ことを心がけ、お施主様の言葉にならない何かを探り出すことに立ち返り尽力しました。
1階は目玉商品の生本マグロをイメージした青色(色名：ブルーウェーブ)を使用しました。
間仕切りの壁に使用した軽鉄は通常見せることのない建築材料ですが、お店のオーガニック商品に合わせてなるべく加工せず、そのままの材料を主としました。
店内の見え方も工夫し、通常隠してしまう調理場をあえて見せることによって、店内に透け感と新鮮さをアピールできるデザインにしました。
1階から2階へ上がる階段には壁一面、有名な写真家さんや商品の歴史について数ある作品の中から選定させていただき、写真の大きさや額縁の色、配置などもまたこだわったポイントです。
2階は自然をイメージした緑色(色名：サウスビーチ)を使用し、勾配天井に造作のモニュメントとプランツを吊り下げることで、外観からも店内からもインパクトのあるデザインにしました。
もう一つの商品としてワインがあり、ワインを連想させる木の箱を加工せずそのまま軽鉄を取り付けて商品棚へと変化させました。
共通点として金具を真鍮で揃え、ポップな色や柄にしたことにより、雰囲気が柔らかくなり女性が入りやすい空間になっています。
照明にもこだわり、人通りのある道沿いにお店があるので目を引けるように、店内は写真が映える位置と商品にスポットライトを使用し、外壁にネオンでかわいらしいマグロとワインを設置しました。